侍ジャパンのダルビッシュ有投手(36)が、国内“ラストサムライ”登板へ向けて準備を整えた。東京ドームで行われた全体練習に参加し、16日のWBC準々決勝イタリア戦への調整を終えた。日の丸を背負っての国内登板は最後かもしれないと覚悟する大一番。リリーフ待機する右腕は日本への感謝の思いを胸に、これまでの野球人生で得た経験値をフル活用し、準決勝を戦う米マイアミ行きの切符を日本にもたらす。

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日本では今大会最後の試合となるイタリア戦の前でも、ダルビッシュは気負うことなく言った。

ダルビッシュ 自分としては、もう最後になる可能性があるので。そこはしっかり感謝を持って投げたいと思います。

36歳で14年ぶりに日の丸を背負った右腕は“次回”を見据えていない。チーム合流後から「年齢的な部分も含めて実力も3、4年後になると保証されていない。実力がないと、ここにいられないので、これが最後になるかもしれないと言ってきました」と、覚悟を発信してきた。リリーフ待機となる準々決勝も、1球入魂で臨むつもりだ。

2月の宮崎強化合宿から、ムードメーカーとしてチームを引っ張ってきた。技術面だけでなく、日本の有望な後輩たちに伝えてきたのは、日々のベストを尽くす大事さ。負ければ終わりの大一番でも変わらない。

ダルビッシュ 自分を含めてですが、結果はコントロールできない。コントロールできるのは過程、準備。個々人が、これまでの経験で最適なものを導きだすと思います。そこさえしっかりやれば、結果はどうあれ、大事だと思います。

10日の1次ラウンド韓国戦は先発で今大会初勝利を挙げたが、3回3安打3失点(自責2)だった。中5日で登板準備を進めるイタリア戦へ向けて「すごく良くなっていると思います」と、さらにコンディションも上がってきた。日本で投げる最後のマウンドになるのか-。さまざまな感謝の思いを胸に出番を待つダルビッシュが、万全の準備を整えた。【木下大輔】