2月10日、大橋ボクシングジムでキッズ世代を対象としたボクシング体験教室が開催された。4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)と、所属ジムが契約を結ぶNTTドコモによる「ドコモ未来フィールド」と題したイベント。全国約1400組の応募から選ばれた小学1~6年の子供20人が大橋ジムのトップボクサーの練習内容を見学、自らも体験することが主な内容だった。そしてイベントの中には子供たちを引率した保護者20人を対象とした「粋な」企画も用意されていた。

大橋秀行会長(58)、元世界3階級制覇王者八重樫東トレーナー(40)が赤平大アナウンサーの進行でキッズ世代の育成について熱いトークを展開した。同会長は「これまで井上尚弥よりも素質ある選手は2人いました。しかしその子たちは最終的に…。素質も大事なのだけれど大切なのはハート。まじめに練習するというのも1つの能力です。練習を続けられる気持ちなのです。始めたころのワクワク感を続けられることが天才なのです」と力説。すると保護者たちも熱心に聞き入っていた。

八重樫トレーナーは「お子さまたちは多感な時期なので刺激を求めるのは当たり前。今の時期はいかに楽しませるか。そこから入ると練習が楽しくなると思う」と“強制し過ぎない”こともアドバイス。続けて大橋会長も「保護者の夢のために無理やりやらせるのは子供がかわいそう。特にボクシングの練習は単調で苦痛でしかない。ただし強くなるためには、保護者の協力が100%必要です」と付け加えた。

2人がそろってキッズ育成のリアルな「現場」「現状」を明かすと、保護者からも本音の質問が連発。子供たちが別会場で練習見学して不在なこともあり「職場で部下のやる気を上げるには」「メンタルの弱さをどう克服すれば良いか」「負けから得られるものは何か」など鋭い質問、悩みが次々と飛び、大橋会長、八重樫トレーナーも真剣な表情で対応していた。

未来とは子供たちがつくっていくものだが、保護者たちのサポートなしでは、子供たちの大きな夢や目標の実現は険しいものになる。この大橋会長と八重樫トレーナーによるトーク企画も子供たちが未来を築いていくためには大事な要因。親と子の描く未来が一致することが何より大事であることをあらためて感じさせられた。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

「ドコモ未来フィールド」に参加した子供たちと記念撮影に応じる井上尚弥(最後列左から4番目)ら大橋ジムのトップボクサーたち
「ドコモ未来フィールド」に参加した子供たちと記念撮影に応じる井上尚弥(最後列左から4番目)ら大橋ジムのトップボクサーたち