<大相撲九州場所>◇初日◇8日◇福岡国際センター

 九重部屋に3代目「千代の海」が誕生した。夏場所デビューの浜町(22)がしこ名を改め、東三段目19枚目で初日を自慢の押し相撲で白星発進。無傷15勝目は、しこ名にちなんだ先輩2人をほうふつさせた。

 九重部屋では、三段目から「千代」のつくしこ名に改名する。秋場所で序二段優勝して昇進を決めた浜町は高知・黒潮町出身。憧れの力士で、母明恵さん(52)も大ファンだった佐ノ山親方(元大関千代大海)の「海」を熱望した。同親方は「名前が明太郎だし、まさにキラキラネーム」と「千代の星(ぼし)」などを考えていたが「先輩もいるし、師匠に言って許可をもらうべきでは」と、師匠の九重親方(元横綱千代の富士)に事情を説明。すぐに初代で元関取の岡部茂夫さん(70)へ電話が届いた。

 福岡の繁華街、中洲で角界関係者も足しげく通う「すもう料理 千代の海」を構える岡部さんは現役時代、最高97キロながら突き押し相撲を貫き十両7枚目まで昇進した。おとこ気そのままに「どうぞどうぞ」と快諾し、稽古場にも足を運んだ。九州の地でしこ名を受け継いだ若武者に「俺を抜いてくれよ」と伝えると、3代目は「海という名前を使いたかった。頑張ります」。恩返しの航海は始まったばかりだ。【桑原亮】