19日で第48代横綱大鵬の死去から9年がたつ。

大鵬の友人だった横浜市在住の仲村房次郎さん(84)は「仕切りで腰にグッと力を入れる姿勢が、大鵬に似てますよ」と、孫の王鵬に大横綱を重ねた。

王鵬が新入幕を果たした今場所。胸を躍らせながらテレビ越しでエールを送っている。

北海道・稚内市で水産加工会社を経営していた91年、偶然会社に訪れた大鵬親方(当時)と出会うとすぐに打ち解けた。稚内は、大鵬が少年時代に旧樺太から引き揚げる際に上陸した地。生前、大鵬が「稚内で降りたから横綱になれた。その証しを残したい」という言葉が忘れられず、自身が発起人となり20年5月に縦2メートル超という大鵬の記念碑を建立した。大鵬の等身大の姿や手形が刻まれている。

場所前には「大鵬上陸記念碑の会」の会長として、王鵬に新たな化粧まわしを贈呈した。北海道の海を表す青を基調とし、稚内や弟子屈(てしかが)など、大鵬ゆかりの地が描かれている。大きくデザインされた「忍」は、大鵬が好んだ言葉。王鵬は初日から3日目まで土俵入りの際にこの化粧まわしを締め、見事3連勝スタート。仲村さんも「縁起が良かったのかな」と胸をなで下ろした。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

はたき込みで千代大龍(左)を破る王鵬(撮影・野上伸悟)
はたき込みで千代大龍(左)を破る王鵬(撮影・野上伸悟)