「K-1 WORLD GP 2015 サバイバルウオーズ」(22日、東京・後楽園ホール、日刊スポーツ新聞社後援)の、65キロスーパーファイトで木村“フィリップ”ミノルと対戦する平本蓮が8日、東京・大久保のK-1ジム総本部で公開練習を行った。

 平本はミット打ちとサンドバッグを使ったインターバルトレーニングを2Rずつ披露。終始、緊張感が張り詰める中、梶原龍児トレーナーの持つミットやサンドバッグにパンチをたたき込んだ。

 目に留まったのは平本がボクシングシューズを履いていたこと。木村が「シューズを履くとパンチがレベルアップする」という理由でシューズ着用の公開練習を行ったため、平本もそれに対抗したのかと思いきや、それにはパンチ強化以上の意味と理由があった。

 平本の父はかつてプロボクサーを志しながら、ドクターストップでプロボクサーの夢を断念せざるを得なかった過去を持つ。公開練習で平本が履いていたシューズは父親が使っていたもので、「お父さんと一緒に戦っていく」と平本は大一番を前に、シューズを履いて公開練習に臨んだ真意を語った。

 当初、平本は今大会で和氣光春との対戦を予定していたが、急きょ、木村の対戦相手として白羽の矢が立った。家族には驚かれたという平本だが「大きなチャンスが目の前に来て断るファイターはない。上の選手を食って上がっていくのが格闘技界の流儀。それを話したら、みんなすごく燃えている」。

 大会の約1カ月前に木村と対戦することになっても「僕はいつも1試合1試合全力でいく。対戦相手が和氣選手でも思いっきり追い込んでいたし、相手が木村選手に変わっても、よりレベルが高くて輝いている選手とやることになったんだなと思うだけ。技術で引けをとっていると思わないし、あまり意識はない」という平本。「僕は格闘技を見るのが好きで、65キロのトップファイターの試合は『僕とやったらこうなるだろう』と考えて見ていた」と、デビューから1年足らずで木村と戦うことにも違和感は感じていない。

 木村は自身の公開練習で平本の「K-1に“絶対”はない」という発言を引き合いに出し「K-1にも“絶対”はある。どれだけ頑張っても勝てない相手がいることを見せつける」と発言。「彼(平本)に勝ち目はない、絶対」と格の違いを強調した。

 対する平本は「自分が考えてることと(トレーナーの)龍児さんが考えていることが一緒で、練習でそれを高めている。父にもパンチも教わって、いろんなことを吸収している。今日は追い込みのラスト期間で動きのキレが出せなかったけど、試合当日はこれの3倍くらい良い動きができる」と木村対策と仕上がりに自信を見せる。「K-1に“絶対”があるなら、俺が絶対に勝つぞって感じ。俺は負けない」と木村同様に己の勝利を信じて疑わない。

 木村の「次の試合はけんかのつもりでいく」という言葉にも、「僕はけんかが嫌いなんで(笑)、自分のスタンスで戦う。普通にやっても、けんか腰でやっても、どちらでも勝てると思うし、気持ちの強さだったら絶対に負けないので、それを証明したい」と臆する様子はみじんも感じさせない。

 幼少期からK-1に憧れ、その舞台で戦うようになった平本には、ずっと信じ続けているものがある。それが“夢の力”だ。ファン時代に梶原や尾崎圭司に書いてもらったというサイン色紙を持参した平本は「夢を持って諦めずにやっていれば、いつか頂点に立つ日が来るということを見せたい」と“夢の力”について熱く語る。

 「今、小さい頃から夢見ていたK-1のリングに立つことが出来て、夢の力はすごいと思う。僕はK-1に夢を見せてもらったので、皆さんにも夢の力の大切さを知ってもらいたい。今格闘技をやっている小さい子たちにとって、キックボクシングとボクシングでは見ている夢も大きく変わると思うけど、僕が自分の夢をかなえて、キックをやっている小さい子たちの夢を膨らませたい。K-1には夢があることを証明したい。諦めずにやっていれば頂点に立つ日が来るということ、それが報われることを見せたい」

 実績やキャリアでは木村が圧倒的に上。しかし、平本の自信は揺るがない。「木村選手のように、1ラウンドKOとは言わないが、試合当日を見れば分かると思う」。平本は“夢の力”で木村の壁を打ち砕く。

 入場料金など詳細および問い合わせは、K-1=http://www.k-1wg.com/へ。