プロボクシングのWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者内山高志(36=ワタナベ)が「夏休みの宿題」式減量で完璧な体を作り上げる。27日の同級暫定王者ジェスレル・コラレス(24=パナマ)との12度目の防衛戦に向けて25日、都内で予備検診に出席。心身ともにストレスの少ない独自の減量法が長期政権の秘訣(ひけつ)だと明かした。

 日焼けした張りのある肌が、内山の仕上がりの良さを表していた。「いつも通り体重もきつくない。万全です」。初対面したコラレスとがっちり握手を交わすと、報道陣の質問が途切れるまで取材に応じ、力強い足取りで会場を後にした。

 今日26日の計量まで24時間。ボクサーにとって「最初の敵」と言われる減量まっただ中とは思えぬこの余裕が、内山の強さの秘訣でもある。体重に対する考え方はシンプルだ。世界王者でも10キロ近く落とす選手が多い中、内山は5~6キロ。試合が決まれば、油ものを控え、カロリーを制限するだけで2キロは落ちる。最後の1週間で58・9キロの上限まで残り3キロ以内に入っていれば、練習と計量前日に水分を取らないことでリミットをクリアできる。

 内山 夏休みの宿題と同じ。定期的にやって最後に楽をするか、残して最後に遊べなくなるか。自分は最後につらい思いをするのが嫌。日頃から基本的な脂肪を落としていれば、楽に落とせる。水分だけで落とそうとするから喉が限界になる。無理な減量をすると、試合後のリバウンドも大きくなるし悪循環になる。

 6年を超える長期政権の秘訣を「体重面のストレスがないこと」と言い切る。年間を通じて体重の上下幅は6キロ以内。減量で体に負担をかけないことが、高いパフォーマンスに直結している。V12戦で迎え撃つのは、「インビジブル(見えない)」の異名を取る24歳のコラレス。「当ててやりたい。若者には負けません」と拳を握った。【奥山将志】