だが、議員としての多忙な日々から、06年に引退を決意。「大臣になって戻ってくる」とファンに誓い、20年におよぶ現役生活に別れを告げた。その後は20年東京五輪・パラリンピック招致などでも存在感を発揮し、15年にプロレス界初の文部科学大臣に就任。「大臣になる」という1つの約束を果たしたことで、リング復帰に気持ちが傾いていったとみられる。

 フェイスブックで鍛え抜かれた肉体を披露するなど、多忙な合間を縫ってトレーニングを続けてきた。引退試合で年齢と同じ45回転を披露したジャイアントスイング、代名詞の裏投げ、北斗原爆固めなど大技への期待も高まる。

 「引退に 臨んで秋の 風が吹く」と得意の俳句でリングに別れを告げてから、11年。真夏のマット界に、熱い男が帰ってくる。

 ◆馳浩(はせ・ひろし)1961年(昭36)5月5日、富山・小矢部市生まれ。星稜高でレスリングを始め、3年で国体優勝。専大4年で全日本学生優勝。卒業後は星稜高で国語の教員を務め、84年に全日本選手権優勝。グレコローマン90キロ級で同年のロサンゼルス五輪出場。85年にジャパンプロレスに入団し、86年にプエルトリコでデビュー。87年の小林邦昭とのデビュー戦でIWGPジュニア王座奪取。デビュー戦での戴冠は史上唯一の快挙。IWGPタッグ王座3度戴冠。96年に全日本移籍。95年に参院議員に初当選し、00年には衆院議員に。現役時代は183センチ、103キロ。夫人はタレントの高見恭子。

 ◆プロレスリング・マスターズ 武藤敬司が「プロレスの達人」を集めてプロデュースする不定期開催の大会。第1回は今年2月に東京・後楽園ホールで行われ、超満員札止め。メインは藤波、長州、武藤、ライガー組が「平成維震軍」の越中、カブキ、AKIRA、斎藤彰と対戦した。ウルティモ・ドラゴン、グレート小鹿、藤原喜明、高山善広らも参戦。