挑戦者の同級1位山中竜也(22=真正)が、王者福原辰弥(28=本田フィットネス)を12回3-0判定で破り、世界初挑戦でタイトル奪取に成功した。所属ジムの男子では、世界3階級王者長谷川穂積、WBA世界スーパーバンタム級王者久保隼に続く3人目の世界王者となった。

 山中は序盤からスピードを生かし、試合をリード。接近戦のボディーの連打と忠実な左ジャブを軸に、いきなりの右、左右のワンツーをタイミングよくヒットさせ、ポイントを確実に重ねた。

 タイトル奪取に成功した山中は「ホッとしました」とニッコリ。真正ジムの4年前の忘年会で、長谷川氏から「うちのジムの選手はみんな『ここで負けたら…』という必死さが足りない」と厳しい言葉をもらった。「その言葉がずっと頭に残っています。いつも“これが最後”の気持ちでやってきたので、今日も特別な意識はなかったです」という。

 漫画「はじめの一歩」に憧れ、始めたボクシング。母理恵さん(46)に女手一つで育てられた6人きょうだいの長男は「真正ジムのみなさん、応援してくださったみなさん、そして僕を生んでくれたお母さん…。本当に感謝しかないです」。自分の喜びより先に、周囲への配慮を忘れなかった。