米総合格闘技(MMA)のUFCは9月23日、2年ぶり5回目となる日本大会、UFCファイトナイト・ジャパンをさいたまスーパーアリーナで開催する。MMAデビュー5戦目でパンクラスの王座を獲得したウエルター級王者の阿部大治(25=HMC)がUFC初参戦を果たす。イム・ヒョンギュ(32=韓国)と同級5分3回で対戦する阿部は、このほど日刊スポーツなどのインタビューに応じ「戦うステージが違うだけ。最高峰の舞台でトップを目指して頑張りたい」と意欲を示した。

 MMA歴は浅いが、格闘技のベースは十分に備わっている。新潟・豊栄高で柔道部に所属し、高校総体男子90キロ級で優勝を飾った。柔道の強豪大進学も勧められていたが、格闘技へのあこがれが強く、地元キックボクシングジムに入門。14年にはキック国内主要団体のJ-NETWORKでライト級王座のベルトを巻いた。その後、ハワイでMMAのトレーニングを本格的に開始。MMA6戦目でのUFCデビューに向け「試合で勝つことが1番。試合は楽しい気持ちがあるし、ネガティブなことは考えていない」と強調する。

 MMAデビューが予定されていた15年4月。試合1週間前に追突事故を起こし、右足甲を剥離骨折した。デビュー戦が延期になっただけでなく、患部に細菌が入り込み、一時は右足切断の危機もあった。5度の手術を経て、奇跡的に回復。約1年後の16年4月にデビュー戦にこぎつけて勝利を飾った。まだ患部には痛々しい腫れの跡も残る。右足甲をみつめながら「あの当時は集中治療室に入って足を切断を言われて泣いていましたね。あの事故があって、今のボクがある。それはプラスに考えている」と振り返る。

 日本人選手にとってUFCウエルター級はランキング入りも難しい激戦区となる。阿部は「まずはランカー入りを目指したい。UFCはさまざまな国から選手が出ていて、自分も日本の代表という気持ちがある」とキッパリ。勢い十分で、世界最高峰と言われるオクタゴンに乗り込む。

 ◆阿部大治(あべ・だいち)1991年11月27日、新潟・柏崎市生まれ。豊栄高時代は柔道部所属。卒業後に同市のキックボクシングジムに入門。J-NETWORKライト級王座を獲得。米ハワイのHMCで総合格闘技を始める、16年4月に総合格闘技デビューし、1回TKO勝ち。17年7月にパンクラス・ウエルター級王者の三浦広光を下して新王者に。同7月にUFCと契約。180センチ、77キロ。