ボクシングのWBA世界ミドル級タイトルマッチ(22日、両国国技館)で同級1位村田諒太(31=帝拳)の挑戦を受ける王者アッサン・エンダム(33=フランス)が15日、来日した。判定が物議を醸した5月の王座決定戦以来の直接再戦。汚名返上を期する初防衛戦に向け、サッカーの元スウェーデン代表FWイブラヒモビッチ(マンチェスターU)と合同トレーニングを積んだことを明かした。

 「アッサン!」。羽田空港に居合わせた旅行者から手を振り、呼び掛けられると、サングラス越しに笑顔を振りまいた。ストール、ライダージャケット、腰ばきのジーンズといういでたちで登場したエンダムは、「たくさんの方に迎えていただいた。うれしい気持ちになっています」と上機嫌。村田の雪辱を待ち望むアウェーの地でも、リラックスした空気を醸し出した。

 前回の調整と同じく、米マイアミを拠点にし、ドイツなどでも実戦練習を積んできた。8月にはフランス国内で合同練習。相手は「昔からの友人」というFWイブラヒモビッチ。マンチェスターUと1年間の再契約をした超大物の格闘技好きは有名で、自らも15歳からテコンドー道場にも通っていた。試合で「トリョチャギ(後ろ回し蹴り)」でゴールを奪ったこともある。「とても気が合う」とともに汗を流し、競技は違えど世界の最前線で戦う者同士で刺激しあった。

 5月の第1戦は4回にダウンを奪われた。以降も軽快な足さばきと手数で12回を戦いきったが、判定には批判の声も大きかった。「今回は触れさせない。新しいものをみせる必要はない。ベルトを持ってフランスに帰る」と、アンタッチャブル宣言も飛び出した。【阿部健吾】