王者田中恒成(23=畑中)がフライ級で初防衛に成功した。元WBA&IBFライトフライ級統一王者の挑戦者田口良一(32=ワタナベ)を3-0の判定で退けた。

たたき上げの田口VSアマチュア出身の田中という日本人対決。一般的にアマ出身がひ弱というイメージを、田中が完全に払拭(ふっしょく)した内容だった。スロースタートの田口から積極的な攻撃を受け、3回に強烈な右フックまで浴びてぐらついた。終盤に強い挑戦者のペースになるのではないかと思わせたが、田中は左ボディー、みぞおちを狙ったパンチを効果的に入れて打ち勝った。あの顔色を変えない田口を苦しい表情をみせるまでに追い詰めたのは、田中のたくましさの証明といえよう。

唯一、気になるところを挙げるとすれば不用意なパンチをもらい過ぎる点だ。あのボクシングセンスと技術ならば、1発もパンチをもらわずに完封する実力があるはず。もちろん直近2戦の木村、田口は世界王者で強敵だが、あえて言わせてもらえば、ここで激戦を繰り広げる器ではないと考えている。

田中が持つ潜在的な能力と実力を考えれば、私の期待度はもっと高いところにある。この日本人対決2戦がミスマッチだと思わせるほどの一方的な試合を見せてほしかった。それほどの逸材だと思っている。

(元WBA、WBC世界ミニマム級王者・大橋秀行)