日本スーパーバンタム級王者細川バレンタイン(37=角海老宝石)が、挑戦者で同級1位の井上浩樹(26=大橋)に0-3の判定で敗れ、3度目の防衛はならなかった。

約12センチも身長が高くリーチで上回る相手に対し、序盤からフェイントを使って突進。積極的にパンチを打ち込んだが「彼は分かっていた」。中盤からはステップを使って距離を作られ、思うように攻め込めなかった。5回終了時にはジャッジ3人とも47-48と肉薄していたが、終わってみれば93-97、93-98、92-98の完敗だった。「(中盤から相手が)さらにリラックスした感じだった。彼に追いつけなかった。強かったです」と冷静に分析した。

17年末に36歳で日本王者となった遅咲きのボクサー。よりボクシングに打ち込むため、18年春には長く務めていた外資系企業を退社。「幸せをかみしめている」と、ボクシング漬けの生活で2度の防衛を果たしてきた。今回もトレーナーらとともに朝、晩2度の練習で強敵井上対策を徹底的に行ってきた。

控室では淡々と取材に応えていたが、「燃え尽きたか」との質問に思わず感極まった。「燃え尽きようと思ってやったんですけど、やっぱ負けると悔しいです」と声を震わせながら、涙を流した。