世界のレジェンドレスラー、獣神サンダー・ライガーが31年前に誕生した地、東京ドームで引退した。同日デビューした永遠のライバル佐野直喜(54)と組み、前日4日にIWGPジュニア王者に返り咲いた高橋ヒロム(30)、リュウ・リー組と対戦。高橋に敗れ、新日ジュニアの未来を託した。

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ライガーのマスクを15年1月から制作する「マスク職人」は、東京・水道橋で工房、ショップ兼ミュージアムとして「プロレス・マスク・ワールド」を経営する中村之洋さん(53)だ。以前から担当する4代目タイガーマスクから紹介されたのがきっかけ。マスクコレクターでもある中村さんにとっては憧れの人。「ジャンルを超えたスーパーヒーロー。一生残るので、責任とプレッシャーを感じました」と振り返る。

制作は約3日かかる。他のマスクは通常ほぼ2日で出来上がるが、「世界中見てもこれだけ造形物が多いものはない」。角や、4重の皮を重ねた目の部分などマスク界屈指の複雑さを持つ。見えない裏地にはメッシュを使用。汗をかいても肌につかない工夫をこらす。こだわりは髪の部分。地毛だった09年以前によく似たウィッグを探し、美容院でカットとパーマをかけて、整髪して初めて完成となる。

12月末には引退セレモニー用のマスクを納品した。デザインを任されているという中村さんは目の形を02年に鈴木みのると格闘技ルールで対戦した時と同じものにした。「プロレスだけでなく、総合格闘技もやったという残像を残したい」とマニア魂も込めた。「ライガーさんは一生、ライガーさん。ずっと顔を担当させていただきたい」と熱望した。【高場泉穂】