コロナ禍で今年、国内で男子初の世界戦が24日にエディオンアリーナ大阪で行われる。WBC世界ライトフライ級タイトルマッチで王者寺地拳四朗(29=BMB)と挑戦者の同級1位久田哲也(36=ハラダ)は23日、大阪市内で前日計量に臨み、ともにクリアした。新型コロナウイルス感染症拡大防止で関西では大阪、兵庫、京都に25日に緊急事態宣言が発出される。その前日に行われる世界戦は、入場者制限をした有観客で行う。

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見えない敵に屈するわけにはいかない。コロナ禍が拡大している大阪でボクシングの世界戦を行う。大阪府が要請している緊急事態宣言の発出は25日。ギリギリで開催する興行に、プロモーターの真正ジム山下正人会長(59)は「明日は通常通りで、有観客で開催したい」。当初から会場の収容人数の半分以下、2200人を想定しており、前売りで約2000人分が売れているという。その観客の期待に応えるべく、全力を尽くす。

男子の世界戦は国内で今年初となる。山下会長は「コロナで厳しい中でも、選手の頑張りを無駄にはできない」と話していた。過酷な減量を伴う、ボクサーの試合までの調整は厳しさしかない。その努力を「無」にするわけにはいかない。

王者の寺地は、リミットを300グラム下回る48・6キロでクリアした。「余裕を持って調整してきて、代謝で落ちただけ」と余裕の表情を見せる。7度目の防衛に成功した19年12月以来、約1年半ぶりの実戦となるが「(試合のプランは)圧勝ですね。一方的な試合にします」と宣言した。

出口が見えないコロナ禍で苦しむ人たちを勇気づけたい。「コンディションはすごくいいです。KOにはこだわらないが、自然の流れで」。同カードは当初、昨年12月19日に予定も、王者側のトラブルで延期となっていた。その責めも負うだけに気合が入る。

世界戦で初めてメインを務める。「メインとかあまり意識しません。いつも通りやるだけ」。コロナ禍の大阪で「戦う」魂を見せつける。【実藤健一】

○…挑戦者の久田が勝てば36歳6カ月、日本選手最年長での世界王座戴冠となる。前日計量を48・9キロのリミットでクリア。「コンディションはいいです。早めに調整できた」と自信を示した。無敗の王者に対し、自身は10敗を喫している。「何度も泥水をすすってきていて、苦しい状況でも最後まであきらめずに戦う。そこが自分の強みだと思う」。2度目の世界挑戦で遅咲きが歴史を刻む。