新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の急拡大がビッグマッチを控えていた日本ボクシング界を直撃したが、14日に東京・両国国技館で開催されるWBAスーパー、IBF世界バンタム級タイトル戦、WBO世界ミニマム級タイトル戦のダブル世界戦(日刊スポーツ新聞社後援)は開催される。

【井上尚弥】4団体統一への道 ディパエン戦/世界戦ライブ速報>

2団体統一王者井上尚弥(28=大橋)、WBO世界ミニマム級1位谷口将隆(27=ワタナベ)の世界戦は予定通りに行われるのは、対戦相手が来日済みだったことにある。

14日の興行主催者となる大橋ジムの大橋秀行会長は「もし1日、来日が遅かったらと思うとぞっとします」ともらした。スポーツ庁や自治体、関係団体との調整で当初は来日選手陣営の隔離が10日でも良いとの指示を受けたものの、同会長は通常通り14日前の来日をお願いし、井上の対戦相手となるIBF世界バンタム級5位アラン・ディパエン(30=タイ)、谷口が挑戦するWBO世界ミニマム級王者ウィルフレド・メンデス(25=プエルトリコ)は11月28日、日本に到着していた。

その翌日となる同29日に政府から新規外国人の入国を原則的に禁止するという発表があった。大橋会長は「念のため、14日前に設定しておいて良かった。結果的に1日前に来日できていたわけですから。隔離後のPCR検査も相手陣営は全員が陰性でした。プロモーターとして私がやることは終わりました」とほっとした表情を浮かべた。

一方、対戦相手となる外国人世界王者の来日が困難となり、12月29日にさいたまスーパーアリーナで予定されていた史上最大規模のビッグマッチとなるWBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(35=帝拳)-IBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(39=カザフスタン)の王座統一戦は来春延期に。さらに同31日、東京・大田区総合体育館で開催予定だったWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(32=志成)-IBF世界同級王者ジェルウィン・アンカハス(29=フィリピン)との王座統一戦も中止となっていた。【藤中栄二】