北海道枝幸町出身のプロキックボクサー山川賢誠(28=Kickboxing Academy Sapporo)が23日のRISE155(東京・後楽園ホール)で7カ月ぶり復帰戦に臨む。中学まで野球少年。小5のときに札幌ドームで日本ハムの始球式イベントに参加し、現役時代の新庄剛志監督(50)とキャッチボールをした。22年の目標は「注目を浴び日本ハムの始球式をやりたい。BIGBOSSと再会したい」。復帰戦で勢いをつけ、夢をたぐり寄せる。

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熱い思いを22年初戦にぶつける。23日の相手は“狂犬”の異名を持つRISE元フェザー級1位の難敵、森本義久(31=BRING IT ON パラエストラAKK)。かつて元同級王者の工藤政英(30=新宿レフティージム、昨年12月に引退表明)と2度にわたり死闘を繰り広げた危険なファイターだ。山川は「強い敵だからこそチャンスを感じる。絶対勝ちにいく」と自らを奮い立たせた。

もう1度会いたい人がいる。18年前の04年、中の島ビックタイガースの中堅手として全道少年軟式野球を制覇。優勝チームの一員として札幌ドームで日本ハムの始球式イベントに参加した。山川は新庄現日本ハム監督とともにセンターまで走り、一緒にキャッチボール。「ミットに受けた強いボールの感触は忘れない。キックボクシングで活躍して始球式に呼ばれるような選手になりたい」。勝利を重ね“BIGBOXER”になり、BIGBOSSとの再会を果たす。

昨年7月の梅井泰成(23=TEAM TEPPEN)戦は、得意のキックが決まらず、1R途中に受けたパンチの影響で視界がぼやけドクターストップ。TKO負けを喫した。検査の結果、右眼窩(がんか)底骨折で「物が何重にも見えるような状態が続いた」と2カ月間は実戦練習ができなかった。9月の復帰後は「キックだけでなくパンチでも打ち負けないように対策をしてきた」。敗戦で得た教訓を生かし、昨年4月の久保田雄太戦(28=新興ムエタイ)以来、10カ月ぶりの勝利をつかみにいく。

17年11月には「神童」こと40戦40勝のRISE世界フェザー級王者、那須川天心(23=TARGET/Cygames)とエキシビションマッチをした貴重な経験を持つ。「見たことのない速さだった。1つ1つの技術も的確。刺激を受けた」。デビュー10年。野球仕込みの身のこなしと天才との戦いで学んだキレのあるキックを武器に、自らのスター街道を切り開く。【永野高輔】

◆山川賢誠(やまかわ・けんせい)1993年(平5)9月27日、枝幸町生まれ。幼少期に札幌に転居し、札幌平岸西小1年から野球を始める。中の島ビックタイガースに所属していた小学5年時、全道少年軟式野球優勝。札幌平岸中3年まで野球を続け札幌南陵高1年からキックボクシングを始める。12年にプロデビュー。通算24戦14勝8敗2分け(7KO)。ニックネームは「白銀のファントム」。日常生活は右利きもキック、パンチは左利き。175センチ、75・5キロ。血液型AB。