51歳のGHCヘビー級王者、「人間」藤田和之が、ノア正式所属となった初戦の前哨戦で暴れまわった。

第9試合で桜庭和志、ケンドー・カシンと組み、田中将斗、マサ北宮、稲村愛輝組と6人タッグマッチで対戦。今月21日の選手権試合(福岡国際センター)で挑戦を受ける田中と、会場がどよめく真っ向勝負を演じた。

中盤、観客が目を覆いたくなるような激しいエルボー合戦に発展。田中の必殺技スライディングDをのど輪で受け止めると、掟破りの逆スライディングDでお返しした。最後は115キロの体重を誇る稲村を軽々と持ち上げ、パワーボムをさく裂。余裕の表情で3カウントを奪うと、「おりゃー!」と絶叫した。

人間離れした圧倒的なパワーから「野獣」の異名を取ったが、GHC戴冠を機に「人間宣言」した。先月23日の名古屋大会で中嶋勝彦を撃破し、第37代王者を戴冠。翌24日にフリーからノア正式加入を発表した際には「これからは野獣ではなく、人間、藤田和之として生きていきます。ご迷惑をおかけしました」と宣言していた。

この日のバックステージでも「本日はお集まり頂きありがとうございます」と深々とお辞儀。カシンに勝利のビールを進められても「もうそういうことはいたしかねますので」と丁重にお断りするなど、「人間」を強調した。だが、「野獣ファイト」は相変わらず。にこやかな笑みが、かえって狂気を増しているように見えたが果たして。