元サッカー日本代表FWカズの次男で総合格闘家の三浦孝太(20=BRAVE)が、満を持してプロ2戦目に挑む。31日に総合格闘技RIZIN37大会(さいたまスーパーアリーナ)で、フェリペ“キングハンター”マソーニ(36=ブラジル)と66キロ契約体重3分3回で対戦。昨年大みそかには、1回TKO勝ちの衝撃デビューを飾った。リトルキングの7カ月ぶりの一戦に向けて連載を展開する。

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今を大切に生きる-。それが、リトルキングのモットーだ。「先のことは1つも考えていない。目の前の相手を全力で倒したい」。会見やインタビューでは、いつもその思いを口にしてきた。

「僕は話題とかそういうところを期待されて出場させてもらっていると思う。勘違いせずに臨みたい」とも。周囲への感謝を忘れず、地に足をつけて努力できるのが、三浦孝太の最大の強みだ。

そんな考えに至った出来事がある。大好きな人との突然の別れ。昨年1月、母方の祖父・設楽卓也さんが自宅の階段から転落し、頭を強打した影響で急逝した。86歳だった。

もともと体が動かなくなっていく病気で、卓也さんの居住スペースを2階から1階に移そうと話していた時の出来事だった。事故の前には、家族で集まって介護の勉強をした。三浦は「みんなが集まった次の日に階段から落っこちて頭を打ってしまって」と振り返る。もっと早く1階へ移してあげていたら…。後悔とやるせなさに襲われた。

家族全員にやさしい笑顔を向けてくれる祖父だった。困った時や悩んでいる時には「大丈夫。自分を信じろ」と鼓舞してくれた。17歳の頃、「本気で格闘家を目指す」と周囲に伝えると、肯定的な意見ばかりではなかった。「どうせ無理だろ」。そんな声も聞こえてきた。その時も、卓也さんは「絶対に大丈夫だから」と、背中を押してくれたという。突然の別れを機に、道を示してくれた卓也さんに誓った。「誰しもに明日が来るわけではない。目の前のことを積み重ね、今を大切にしよう」。

大好きな祖父にプロ格闘家として戦う姿は見せられなかった。今年1月、デビュー戦の勝利者トロフィーを持って墓参りした。「きっと喜んでくれていると思う」。これからも天国に吉報を届け続けるため、三浦は1日1戦を戦っていく。(おわり)【勝部晃多】