WBC王者の寺地拳四朗(30=BMB)が、WBAスーパー王者京口紘人(28=ワタナベ)を7回2分36秒TKOで勝利して統一王者となった。

寺地は試合直後、「いやあ、ちょっと焦ったっすね。これもいい勉強になりました。よかったです」と上機嫌。「やっぱりプレッシャーは強かった。でも距離はしっかり取れたかなと思う。加藤トレーナーからは『足を使って速いワンツーを出そう』と言われていた。それで倒せたかというのはあります」と振り返った。

2学年違いだが、大学時代からお互いにしのぎを削ってきた。関西大の寺地と大商大の京口。対戦成績は3勝1敗と先輩の貫禄で上回っていた寺地が、この大舞台でも押し切った。

「これだけボクシングをやっていたら(相手の)実力も分かる。自分が上回っている。自分が有利」と寺地は一貫して自信の言葉を貫いてきた。

言葉を放つだけでなく、それだけのものを積み上げてきた。対戦が決まってから、東京都内の三迫ジムで実戦練習を積む前に大阪市内のパーソナルジムでトレーニングを積んだ。父で会長の永氏が現役時代から指導を受けていた篠原トレーナーの下で、30歳になった肉体をいじめ抜いた。

篠原トレーナーは寺地を「バランスがいい。何よりスタミナがすごい」と評する。そのメニューは過酷を極める。サイドステップだけで、総計1キロに及ぶ。「マラソンの練習をしたらマラソンランナーになれますよ」と篠原氏。そんな過酷トレーニングで心肺機能をぶち上げてきた。

心肺機能に加え、テーマがあった。それは「ひと伸びするパンチ」。野球選手を題材に体の使い方を追求してきた。ヤクルトの「村神様」こと村上宗隆、そして「二刀流」エンゼルスの大谷翔平が“先生”となった。

体の軸回転を徹底追求。打者のバットスイング、投手の投球動作から、体の軸回転を生かして、放つパンチが相手の眼前でさらにひと伸びする術を学んだ。

「まだまだピークはあるんじゃないですか。知らないことがあるし」と前日計量後に話した。節目の30歳を迎えて、さらに追求する領域があることを知った。

積み重ねに次ぐ積み重ねで軽量級の「頂上決戦」を制した。「4団体のベルトを統一したい」。拳四朗の野望がつながった。

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれ。漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウから命名。奈良朱雀高-関大。アマ戦績は58勝(20KO・RSC)16敗。14年8月にプロデビュー。15年12月に日本ライトフライ級王者、16年8月に東洋太平洋同級王座を獲得。17年5月にWBC世界同級王座を獲得し8連続防衛。プロ戦績は20勝(12KO)1敗。身長164・1センチの右ボクサーファイター。