スーパーバンタム級で4団体統一王者となった井上尚弥(30=大橋)が来年5月上旬、東京ドームで防衛戦を行うことが有力となった。正式決定すれば90年2月、タイソン-ダグラス戦以来、約34年ぶりの東京ドームでのボクシング興行で、井上が日本人初のメインイベンターを務める。また挑戦者には現在、日本ボクシングコミッション(JBC)から国内活動停止処分を受けるWBC世界同級1位の元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(29=メキシコ)が浮上した。

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井上が、ついに東京ドームに進出する。大橋ジムは5月上旬に仮予約を入れており、ジム関係者は「ゴールデンウイークあたりになる」と明言した。国内ドームでのボクシング興行はマイク・タイソンが88年、90年に東京ドームで2度世界戦に臨み、99年には辰吉丈一郎が当時のWBC世界バンタム級王者ウィラポン(タイ)に挑んだ大阪ドームの3例のみだ。もし東京ドームでボクシング興行が開催されればタイソン以来、約34年ぶり。日本人がメインイベンターとなるのは初の快挙となる。

複数の関係者によれば、年末に大橋ジム側が開催を前提に東京ドームの施設内を視察した。毎年1月4日に東京ドーム大会を開催し続ける新日本プロレスのリング、照明、観客席の設置などをスムーズに行うノウハウが東京ドーム側にあったことも大きな後押しとなり、井上の東京ドーム進出実現に向けた交渉は前向きに進んでいるという。

以前から井上の世界戦を東京ドームで開催する計画は持ち上がってきた。19年に階級最強を決めるワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のノニト・ドネア(フィリピン)とのバンタム級決勝でも検討されていた。しかしWBSS運営サイドで照明を含めたセッティングが東京ドームでは困難であることが判明。日程調整も難しく、断念した経緯もある。24年は大橋ジム創設30周年の区切りイヤーでもある。記念イベントとしても井上の東京ドーム進出は絶好のタイミングとなる。

世界主要各団体の意向もあるものの、井上は次戦で日本人初となる4団体統一王者として防衛戦(WBA、IBF初、WBC、WBO2度目)に臨めそうだ。東京ドームのビッグイベントで井上が迎え撃つ挑戦者には元世界2階級制覇王者で現WBC世界同級1位のネリが浮上。元WBC世界バンタム級王者山中慎介と2度対戦し、薬物違反や体重超過で騒がせ「悪童」と言われていただけに、対戦が正式に決定すれば大きな話題となりそうだ。

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