プロボクシングの4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)が5月6日、東京ドームでWBC世界同級1位のルイス・ネリ(29=メキシコ)と防衛戦に臨む24日(日本時間25日)、米スポーツ局ESPNが報じた。同局によると、関係者が語ったと報道している。正式決定すれば88年、90年にマイク・タイソンが世界戦して以来、約34年ぶりの東京ドームでのボクシング興行となり、日本人のメインイベンターも初めてとなる。

22年12月にバンタム級で4団体統一に成功した井上は昨年1月にスーパーバンタム級に転向を表明。同7月に無敗王者スティーブン・フルトン(米国)を8回TKO撃破。WBC、WBO王座を獲得した後、同12月にはマーロン・タパレス(フィリピン)に10回KO勝ちし、WBAスーパー、IBF王座も手にし、史上2人目となる2階級での4団体統一に成功していた。ネリ戦が決まれば、WBAスーパー、IBF初、WBC、WBO2度目の防衛戦となる。

元世界2階級制覇王者ネリは18年3月、WBC世界バンタム級王者として山中慎介の挑戦を受ける際、計量で大幅な体重超過により王座を剥奪。試合は2回TKO勝ちしたが王座は空位となった。17年8月の対戦で山中から王座を奪った後には、薬物検査で陽性反応を示したことも判明しており、日本ボクシングコミッション(JBC)から無期限の国内活動停止処分を受けている。

ただJBCは規定改定で、処分開始日から無期限は3年、取り消しは5年が経過すれば再申請が可能となった。ネリは無期限のために3年間で申請できる。

JBC関係者は「ネリ本人やプロモーターらから日本での活動を許可してほしいという申請があれば資格審査委員会で協議する。処分後、3年間で特に問題を起こしていなければ許可されるはず」と説明している。

ネリはWBCの無期限停止処分が解かれた後、米国のコミッションを通じてJBCに対して謝罪文も送付し、反省の態度を示してきた。昨年11月に行われたWBC年次総会(ウズベキスタン)で同団体マウリシオ・スライマン会長から井上-タパレス戦勝者の指名挑戦者に命じられた。同7月にはフローイラン・サルダール(フィリピン)との10回戦で2回TKO勝ちし“世界前哨戦”も完了。井上への挑戦に向けて準備を整えている。