WBA世界ライトフライ級1位高見亨介(23=帝拳)が世界初挑戦で初奪取に成功した。無敗の同級王者で世界2階級制覇王者のエリック・ロサ(25=ドミニカ共和国)に挑戦し、10回2分48秒、TKO勝ち。ボディー攻撃でダメージを与え続け、同回に右フックでダウンを奪取。立ち上がった王者を攻め込み、レフェリーストップで仕留めた。所属ジムで15人目の世界王者(日本ボクシングコミッション公認)となり、プロ10戦目というジム最速記録で世界ベルトを手にした。

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レフェリーストップを見届けた高見はコーナーによじ登って歓喜した。両手を上げてリングを軽くかけ回って大声援に笑顔を見せると「めちゃめちゃうれしい」と声をはずませた。たすきのようにWBAベルトを巻いて観客席を見渡し、プロ10戦目で世界王者になった感慨に浸った。

無敗の2階級制覇王者をほぼ一方的に攻め続けた。2回に左フックで「嫌な顔をした」と効かせた実感があった。角度を変えた右ボディーをロサの左脇腹にねじ込み「イメージ通りに打てた」。ボディー攻撃で後退する相手に左右フックも次々とヒット。10回、右フックでダウンを奪い、立ち上がった王者のクリンチを回避して仕留めにかかった。クリンチに失敗し、前のめりで倒れた王者の姿…。レフェリーもストップせざるを得ない決着だった。

「(試合前は)倒すこと、常に考えていました。宣言した6回あたりに判定でもいいじゃないかと。10回で倒せてビックリした自分と、練習を頑張って良かったなと自分を誇れた」

時間をかけて育成する名門ジムで、元WBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太の14戦目を追い抜くジム最速の世界王座奪取だ。5歳からキックボクシングをはじめ、小学2年からボクシングに転向。中学1年から帝拳ジムに通い始め、海外経験豊富な田中繊大トレーナーの指導を受けてきた。中学卒業後のプロ転向を熱望も周囲の説得もあって高校進学。プロ意識も高かった。5月にはアマ時代、元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)を最後に倒した米国人で有名な元同国代表ユースコーチのオギー・サンチェス氏も加入。作戦もはまった。

身長168センチと軽量級で恵まれた体格を持ち「複数階級という目標に向けて進んでいきたい」と掲げた。所属先の本田明彦会長には「ジムで1番、生意気」と評される。高見は「今、1番最年少で世界王者になれた。先輩たちにデカイ顔しようかな。ウソ、冗談です」と笑った。本当に「生意気」が似合う軽量級スターが誕生した。【藤中栄二】

◆高見亨介(たかみ・きょうすけ)2002年(平14)4月5日、東京・新宿区生まれ。幼少からムエタイを学び、小学2年からボクシングをはじめる。中学から帝拳ジムに通い、U-15、アンダージュニアで全国制覇。日出高校(現目黒日大高)で高校総体、国体を制し、アジアユースで銀メダル。アマ戦績43勝4敗。高校卒業後にプロ転向し、22年7月に1回KO勝ちでプロデビュー。25年4月、日本ライトフライ級王座を獲得。家族は両親と兄、妹。身長168センチの右ボクサーファイター。

◆帝拳ジム輩出の世界王者(JBC登録のみ) 大場政夫、浜田剛史、ホルヘ・リナレス、西岡利晃、粟生隆寛、下田昭文、山中慎介、五十嵐俊幸、三浦隆司、カルロス・クアドラス、木村悠、村田諒太、尾川堅一、岩田翔吉、高見亨介

【ボクシング】新王者の高見亨介、山中慎介氏シャドーや井上尚弥サンドバッグ打ちなど模倣の特技