元大関で西前頭筆頭の琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)が初金星を獲得した。

 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)を寄り切り。08年秋場所の雅山以来、昭和以降10人目の元大関の金星で、新入幕から76場所目の初金星は、昭和以降の新入幕で最も遅い。そんな記録に「素直にうれしい」と話した。

 決して、完全燃焼の一番ではなかった。先に立った日馬富士に、遅れて立ち合った。すると、横綱が待ったを求めて背中をたたいてきた。だが「自分が決めることじゃない。しっかり、こっちも準備していたから」。集中を切らさず、寄り切った。結果、相撲は成立。座布団も舞った。「ああいう相撲になったけど、しっかり上手を取る準備はしていた。まあ良かったです」。

 初場所で大関から陥落し、即復帰もできなかった春場所。それでも現役続行を選んだ。7年ぶりに落ちた平幕で、1横綱2大関を撃破。「勝負は何があるか分からないけど、勝ったことが素直にうれしい」。休場者が続出する秋場所で、ベテランが奮闘している。