手中に収めたはずの白星が、スルリとこぼれ落ちた。西幕下17枚目の豊ノ島(34=時津風)が、今場所の2番相撲で初黒星を喫し、1勝1敗の五分になった。

 西幕下18枚目の若元春(23=荒汐)と対戦。最初の立ち合いは呼吸が合わず、突っかける形で不成立。仕切り直しての一番は、立ち合いの出足も問題なく左を差して攻めた。俊敏な動きで左右に動き、いなしや引きで勝機を探ろうとする相手の動きにも足がついて行き、正面土俵に寄り立てた。ただ、ここで落とし穴が…。「土俵際の詰めが甘かった。慌てた感じだった」と豊ノ島本人が話すように、空いた脇をつかれ二本を差されてしまった。お株を奪われるようなもろ差しを許し、逆に正面土俵を背に粘ったが、押し倒された。

 「勝てた相撲。そこは反省しなければいけない。これを勝ちにしなければ」と反省の弁が口を突いて出た。ただ、それ以上にプラスにとらえようとする姿勢が、今場所の豊ノ島にはある。相撲内容そのものは「そんなに悪くはなかった。仕方ない。勝負事だから勝ち負けはある。たまたま負けたと思いたい」。今場所の1番相撲を取った後、場所前にやるだけのことはやって「それで負けたら仕方ない、と思えるように仕上げてきた」という言葉にウソはない。3番相撲に向けて「思い切ってやるだけです」と、気持ちの切り替えも出来ているようだ。