縁起物? だから良しとしようか-。十両以上の取組で「令和初」の物言いが付き、行司軍配差し違えで勝った東十両筆頭の豊ノ島(35=時津風)が、4連勝をマークした。

同3枚目の旭秀鵬(30=友綱)と対戦。「当たって前に出ようと思ったけど(左の)前みつを引かれてしまった」と一気に寄りたてられた。体を開きながら、3日連続の肩透かし? 気味に逆転を狙った右からの突き。尻から落ちるのと、旭秀鵬の右手が着くのが同時に見えた微妙な一番。行司の軍配は西方の旭秀鵬に上がった。

ここで関取衆の取組では「令和初」の物言い。協議の結果は旭秀鵬が落ちるのが早く、軍配差し違えで豊ノ島に白星が転がり込んできた。

ビデオで見れば、旭秀鵬の右足が蛇の目の砂を払った後、左手も着き、その後に豊ノ島の体が落ちるのが確認できる。だが、一瞬の見極めは当事者には分かるはずもない。豊ノ島も「正直、ダメかな? 負けてるかな? と思った」と振り返るほど。軍配の確認は出来ない中、協議中は「(自分の勝ちを)祈っていた」という。

執念が実り逆転勝ちで5勝目(1敗)。連日の逆転での白星には「2日続けて星を拾っている。勝ったからいいようなものの、内容は全然よくない」とし「相撲内容がこうだから(逆に)負けだすと止まらないこともある。2日続けて星を拾ったことを良しとするか、内容が内容だからガタガタとくるかもしれない(と思うか)」と手放しでは喜べない。

それでも5勝1敗の数字を不満に思うはずがない。引き締める言葉は発しても、表情は和やか。そして「令和初」の感想も…。「えっ、何が? 物言いが?」と笑いを浮かべて「うれしくはないかな。じゃあ『令和初の差し違え』ってことかな? 令和に乗っかりすぎでしょう」と、報道陣との言葉のキャッチボールを楽しむかのようだった。