大相撲の横綱鶴竜(34=井筒)が、秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表された26日、都内の部屋で会見した。7月の名古屋場所では、14勝1敗で6度目の優勝。腰の痛みなどを抱えながら初日を迎えた先場所とは一転、7月末から1カ月近くにわたる夏巡業も皆勤し、体調面について「今はまったく問題ない。巡業中に体をつくって、動きも確かめてきた」と、2度目となる2場所連続優勝への自信をのぞかせた。

これまで6度の優勝は、14勝1敗が4度あるが、全勝優勝は1度もない。先場所も初顔合わせの平幕友風に不覚を取り、13日目に唯一の黒星を喫している。「自分としてはもったいなかった」と、冷静さに欠けていたと分析。全勝優勝したいか問われると「そうですね」と話したが、すぐに「ただ、最近はこだわりすぎないようにしている」と、重きを置いているわけではないという。「優勝という高い目標を置いて、その前にまず1勝、その次は勝ち越し。1つ1つ」と語った。

8月で34歳となったが「体はしっかりと動いている」と、大きな変化を感じているわけではない。その理由について「30歳を超えると、いろんなこと、技術とかが身に付いてくるけど、体力は落ちやすい。20代は体力勝負。技術を身に付けるために20代でやってきた。1度身に付いたものは離れない」と語る。体力で勝つ割合が高かった20代よりも、落ちてきた体力を補って余りある技術で勝ってきた30代の今の方が、円熟味を増している。

24日に観戦した、バスケットボール男子の日本代表強化試合ドイツ戦での試合前の“始球式”は「だいぶ、モンゴルでも騒がれているみたい」と、母国でも反響を呼んでいるという。華麗なフォームで3ポイントシュートを決めた動画は、母国でもインターネット上で拡散され、称賛されている。「相撲をやっていなかったら、バスケの選手として、こういうところに立てたのかなとも思った」と、1万8000人以上が集まった会場を思い返していた。また、その試合後には、日本代表でNBAウィザーズの八村塁からも「めっちゃキレイでした。すごいですね」と、シュートフォームをほめられたことも明かした。「楽しい1日でした」と、連続優勝に向け、大いに刺激を受けた経験を振り返っていた。

34歳の誕生日を迎えた際には、2ケタ優勝を目標に掲げたが「そういう目標を立てないと、やっている意味がない」と、あらためて誓った。今後は出稽古や時津風一門の連合稽古などで仕上げていく予定だ。