日本相撲協会は11日、付け人への2度目の暴力や差別的な発言で、自主引退を促していた十両貴ノ富士(22=千賀ノ浦)の引退を発表した。貴ノ富士の代理人弁護士から郵送で、11日付の引退届と意見書が都内の相撲協会に届いた。協会を訪れていた師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が、その場で正式な書式の引退届を書き、受理された。退職金などは規定通りに支払われることも決まった。

<貴ノ富士の代理人弁護士の意見書要旨>

スポーツ庁および内閣府にも提出予定とされ、A4用紙8枚を相撲協会に提出。引退を決意した心境としては「今回の協会の対応を見て、協会の将来に失望しました」などと記された。続いて「協会におけるガバナンスの欠如が個人の厳罰化をもたらしている」と題した項目で、不祥事が絶えない現状を指摘しつつ「個人の厳罰化は対外的なアピールにはなるかもしれませんが、コンプライアンス・ガバナンスの向上には役立たないのではないかと懸念します」と、組織の未熟さを追及した。

他にも「相撲部屋制度における人権の抑圧」と題した項目では「生活や稽古を共にする場で閉鎖的空間となっているため独自の文化(風潮)が醸成されやすいのではないでしょうか」と疑問を投げかけている。ただ協会側は「事実関係等を精査の上、協会の認識と見解を近くまとめる」とし、貴ノ富士側の代理人弁護士にも回答予定だという。