大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)で、日本国籍取得後としては初となる、4場所ぶり43回目の優勝を目指す横綱白鵬(34=宮城野)が5日、福岡・春日市の尾車部屋で出稽古し、充実の汗を流した。

かねて場所前の手合わせを望んでいた、返り三役の小結北勝富士(27=八角)が尾車部屋に出稽古することが分かり、足を運んだ。その北勝富士と西前頭3枚目の友風(24=尾車)が三番稽古(北勝富士の8勝3敗)をする中、黙々と準備運動で汗を流すと満を持して土俵に入った。

先場所は初日に対戦。寄り切りで土をつけられ、自身初の初日金星配給という因縁の相手でもあった。翌2日目から右手小指の骨折で休場。復活優勝に向け、その勢いを肌で感じておく必要があった。北勝富士とはその一番を含め、本場所での対戦成績は5勝2敗で今場所を迎える。

稽古のスタートは、当たってタイミングを見計らっての引きで若武者を土俵にはわせた。だが2番目は、北勝富士の強烈なおっつけで横向けに崩され、最後は後ろ向きにされて送り出された。これで白鵬の闘争心に火が付いたか、4番目には四つに組んだ体勢から、北勝富士の右ふくらはぎ付近を刈るように払い、引きつけて投げを打つように転がした。白鵬のイメージとしては「外掛けからの呼び戻しの感じかな」。6番目も押し出されたが、厳しい相撲で切り返し、上手投げ、押し出しと強引にも見える力相撲で7勝2敗。

息も絶え絶えの北勝富士をヨソに、今度は友風を指名。こちらも左から顔面付近への突きで倒し、立ち合い右からの張り手で“一発KO”など、激しい相撲で8勝1敗。荒々しい取り口で、2人合わせて15勝3敗と圧倒した。

狙い通り、北勝富士との手合わせを実現させた白鵬は「いま一番、勢いがあるからね。(友風と合わせ上位に)定着している2人ですからね。(力を)確かめたいという気持ちだった」と、本場所を見据えた“予行演習”を終え納得の様子だった。若いもんにはまだまだ負けられん-と言わんばかりに「血管年齢は25歳ですから。(彼らと)同じような気持ちで頑張りたいと思う」。平成の時代に、数々の記録を残した白鵬は「まだ令和になって、コレといった成績を残していない。横綱最長在位が1番になったから、それに恥じないように九州(場所)で頑張りたい」と気持ちを盛り上げていた。