日本相撲協会が式秀部屋のおかみさんに直接指導することは難しい状況にあることが9日、分かった。

力士9人が一時的に部屋を逃げ出し、協会のコンプライアンス委員会に助けを求めた。力士はおかみさんの厳しすぎる指導などを訴えているが、ある親方は「おかみさんは協会員ではない。理事会でおかみさんに処分を科すことはできないでしょう」と指摘した。

部屋持ち親方の妻は「おかみさん」と呼ばれ、伝統的に力士の母親役として裏方業をこなしてきたが、協会とは雇用関係がない。にもかかわらず、部屋の運営に重要な役目を担っているため、協会のガバナンス上、矛盾が生じる事態になっている。力士らはおかみさんへの不満を募らせているが、処分があるとすれば、親方の監督責任を問うかたちにせざるを得ない。

1月に式秀親方(元幕内北桜)の体調を心配して部屋を訪れた親方の1人は「協力できることがあればやりたいが、師匠とおかみさんの問題なので、自分が踏み込んで話すことではない」とし、別の親方は「協会には、できれば部屋の中のことにあまり踏み込んでほしくない」とも言う。SOSを出した力士たちを救うには、式秀親方の手腕に期待するほか、協会が妙案を出すしかない。