若隆景(27=荒汐)が、大横綱双葉山以来86年ぶりとなる新関脇優勝の快挙を成し遂げた。
12勝2敗で優勝争いトップタイで迎えた千秋楽。結びで大関正代戦に敗れたが、優勝決定戦で高安を上手だし投げで下し、賜杯を手にした。
130キロと幕内では軽量ながら、稽古を重ねて力をつけてきた。「下からという意識だけです」は定番のコメント。体格差を補う、左右からのおっつけを武器とした下から攻め上げる相撲で賜杯をつかんだ。
祖父は元小結の若葉山で父は元幕下の若信夫。そして長兄の若隆元は現在幕下で、次兄の若元春は西前頭9枚目という相撲一家だ。
地元の福島は場所中、大きな地震に見舞われた。被害を受けた人々にも勇気を届ける初優勝となった。
館内での優勝インタビューも淡々と答えた。
【大相撲】春場所・幕内の星取表
-今の気持ちは
若隆景(以下若) うれしいです。(実感は)まだちょっとわかないですね。(賜杯は)重たかったです。
-相撲を振り返り
若 心境は変わらない。一生懸命相撲をとるだけでした。最後何とか残せた。自分の感覚の中であった。
-双葉山以来の新関脇V
若 来場所からが大事。頑張ります。
-家族も館内に
若 いつも支えてもらっている。いいところを見せられたかと思います。
-今場所振り返り
若 いつも言っているんですが、下からの攻めが今場所はよかった。(玉鷲が相撲を教えてほしいと)はい、困りますね。
-祖父に見せたかった
若 はい。うれしいですね、本当に。
-福島の人へ
若 震災から11年たって、一生懸命相撲をとる姿を見せられたかなと思います。
若隆景渥(わかたかかげ・あつし)
◆本名 大波(おおなみ)渥。
◆生まれ 1994年(平6)12月6日、福島市。
◆経歴 福島・吉井田小1年から地元の道場で相撲を始める。信夫中から学法福島。東洋大に進学した。
◆初土俵 16年度の大学選手権で準優勝し三段目100枚目格付け出しの資格を得て17年春場所、兄2人が所属する荒汐部屋からデビュー。体が小さく大相撲か実業団か最後まで悩んだ。
◆順調な出世 18年夏場所、所要7場所で新十両に昇進。19年九州場所、新入幕。21年名古屋場所で新三役(東小結)。
◆相撲一家 祖父は元小結の若葉山、父は元幕下の若信夫。長兄は現在幕下の若隆元、次兄は幕内の若元春で若隆景は3男。
◆しこ名 戦国武将、毛利元就の3人の息子にちなむ。若隆景は3男・小早川隆景から。
◆体格 181センチ、130キロ。得意は右四つ、寄り。