現役最年長関取の東前頭3枚目玉鷲(37=片男波)が、歴代単独3位となる初土俵からの連続出場1457回の節目を白星で飾った。西前頭2枚目明生を寄り倒しで下し、2場所ぶりに勝ち越し。11月に38度目の誕生日を迎える鉄人が、全勝を守った平幕の北勝富士を1差で追いかける。6日目に続き、横綱、3大関がそろって黒星。1場所で2度も横綱、大関が全員出場しての総崩れは、昭和以降初の事態となった。

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この日も、玉鷲はハツラツとした相撲だった。立ち合いは、互いに頭から激しくぶつかった。すぐに腕を伸ばして、一歩も引くことなく前へ。横に動いた明生にしっかりとついていき、引きに乗じて走って寄り倒した。勢い余って土俵下に転落も、ぶつかった観客を気遣う余裕を見せた。連続出場記録が歴代3位となった節目の日に勝ち越しを決めて「本当にうれしく思います」と笑顔だった。

7月の名古屋場所は部屋で新型コロナ感染者が出たため、13日目から途中休場を余儀なくされた。04年初場所で初土俵を踏んで以来、初めての休場。連続出場記録は1448回でストップ、と思われたが、新型コロナ関連での休場のため、日本相撲協会は記録継続の措置を取った。休場当初は措置を取られたことを知らず、それでも「まぁ、しょうがないか」と気に留めなかったという。

しかし、記録継続となったことを知らせる連絡を、関係者から次々に受けた。「自分の代わりに気にしてくれる人が大勢いたのがうれしかった。しっかりやらないといけないと思った」。これまで以上により気合を入れて、今場所も土俵に上がっている。

自己最速の9日目での勝ち越しを決め、単独トップの北勝富士を追いかける。37歳10カ月での優勝ならば、年6場所制が定着した58年以降では最年長優勝となる。9日目を終えた時点で、2敗以上は平幕力士5人だけと荒れる秋場所。「自分のやることを精いっぱいやるだけです」と鉄人は目の前の一番にだけ集中する。【佐々木隆史】