大相撲九州場所(11月13日初日・福岡国際センター)に向け、平幕の琴ノ若(24=佐渡ケ嶽)が、積極的な指導で若い衆を引っ張り上げる。

20日、所属する佐渡ケ嶽部屋の稽古に参加。前日には同部屋へ出稽古に来た高安(32=田子ノ浦)との激しい申し合い稽古を行った。この日は三段目の琴大進(21)や幕下の琴砲(25)に胸を出して調整を重ねた。その都度、気づいたことをこまめにアドバイス。力をつけている力士たちの、さらなる成長を促した。

同じような姿は、他の関取衆にもみられた。

平幕の琴恵光(30)は若い衆の申し合い稽古を見て気づいたことを指摘したり、筋力トレーニングの手本を示した。

同じ平幕の琴勝峰(23)は腕立て伏せのノルマ回数をこなそうと必死の力士のそばに付き添ってサポートしていた。

幕下以下の力士たちへの丁寧な指導を行う関取衆の振る舞いには、きめ細やかさと心配りが感じられた。そのことについて琴ノ若は「下で上がってきている子たちが上に上がれば、他の下の子たちの刺激になる。自分たちにとっても稽古相手が増えることになりますし、僕らも負けじと上がっていこうと思える。九州で幕下がまた増えそうですし、もっと活気ある稽古場になれば。指導しながら、自分にも気づきがありますから一緒に伸びていけたらと思っています」と意図を明かした。

24歳ながら、角界有数の大所帯の部屋頭。稽古場で見せる立ち振る舞いにはその自覚と責任感がにじんだ。それでもなおも謙虚な姿勢を崩さない。「自分もいろいろな人たちに面倒見てもらって、そうやって上がってこれた。そういう感謝の気持ちを忘れず、今度は自分の経験を下の子にもつないでいきたい。できる範囲ですけど、引き継いでいければ」と話していた。【平山連】