来年1月の大相撲初場所(8日初日、東京・両国国技館)で新十両に昇進する湘南乃海(24=高田川)が30日、オンライン会見で初土俵から約9年かけて関取の座をつかんだ喜びを語った。

「うれしい気持ちと感謝の気持ちが強い。化粧まわしとか締め込みをつけて土俵に上がるのが楽しみ」と笑みを浮かべた。

十両デビュー場所でも193センチ、170キロ超の大きな体格を生かし白星を積み重ねる。

九州場所で湘南乃海は、1番相撲から4連勝してストレートで勝ち越しを決めた。「通過点だと思っていました」と気持ちを切らすことなく、最終的には5勝2敗で終えた。14年春場所で初土俵を踏んでから、ようやく手にした新十両の座。

「長かったと思いますけど、昨年の九州場所前に師匠には『早さではなく最後にどこにいるかが勝負だ』と言われて、自分の中で支えになっていました」と折れることはなかった。

野球一家で育ち、もともと相撲経験はなかった。きっかけは神奈川・大磯中時代に高田川部屋を見学したこと。

「太っている人が戦っているのかなと思ったら、しっかりと筋肉があって素直にかっこいいなと感じました」と角界入りを後押しした。

小学生の頃には189センチあり高校生に見間違えられるほどの大柄な体格に加え、野球の投手をしていた時に培った華麗な身のこなしも兼ね備える。

「土俵際のまわりこみは、野球での横の動きもあったのかな」と今も大きな財産だ。

師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)は「順当にいけば3、4年前に上がっていてもおかしくなかった」とポテンシャルを高く評価。続けて「一気に勝負をつける相撲を取ったり、中で右上手を取って豪快な上手投げだったり。多彩にできれば上位でもっと活躍できる。苦労した分、一気に十両を突破して、幕内、三役を目指してやってほしい」と期待を寄せた。

「湘南乃海桃太郎」のしこ名にある、桃太郎には「強い対戦相手を鬼とみて倒そう」という意味が込められている。特長もさまざまな鬼たちが集まる十両。ここからが勝負と気を引き締める。

「どんどん上を目指して『男の力士』になりたい。師匠のように我慢強くて、かっこいい力士になり、いつか横綱になりたい」と意気込んだ。【平山連】