4月に65歳の定年を迎えた入間川親方(元関脇栃司)が、報道陣の取材に応じ、42年余りの現役&親方生活を振り返った。

今後も定年後の再雇用で日本相撲協会には残るだけに、開口一番「やることは今までと変わらないけど、1つ、肩の荷が下りたかな」と話し、笑顔を見せた。

さいたま市に構えた入間川部屋は現在、雷親方(元小結垣添)が継承し、雷部屋となった。入間川親方も、雷部屋の部屋付き親方となったが、師匠だったころを思い出し「やはり弟子の番付が上がるのが一番うれしかった。人を育てるのは難しかった」と語った。続けて「部屋を持った当時と、定年近くになってからの弟子では、親からの教育が違う。部屋を持った30年前の弟子の方が、肉体的にも精神的にも強かったんじゃないかなと思う」と、時代の変化も感じている様子だった。

指導者としてのモットーを問われると「自分に対して『根気よく』かな。盆栽を育てるようなもので、手を掛けないとダメになってしまうし、焦っても枝ぶりは良くならないし。難しいですよ」と答えた。

名古屋市出身で、現役時代の名古屋場所での思い出については「(84年名古屋場所で)初めて横綱に挑戦して、それが金星になったのはうれしかった」と、笑顔で懐かしんだ。

現役時代の師匠だった元横綱栃錦の春日野親方からは「やればできる」「目標を持て」と常々言われ、その言葉を励みに稽古したという。「(日大などの)アマチュア時代は優勝を目指し、大相撲では勝ち越しを目指してきた。全速力で走ってきた感じはある。少し、のんびりしてもいいのかなと思う」。

取材に応じている間、終始優しい表情。最後に報道陣から花束を受け取ると、一段と目じりを下げていた。