喜怒哀楽を表に出さないことに関して、現役屈指の男が珍しく熱くなった。
西前頭5枚目の琴勝峰(26=佐渡ケ嶽)が、敗色濃厚の展開から大逆転。埼玉栄高の同級生で、西前頭3枚目の王鵬との2年ぶりの取組は、互いにまわしにこだわらず、激しい突き合いとなった。一進一退の展開から、王鵬の力強い押しに、左足は俵にかかり、上半身は弓なりになり、倒れ込む寸前にまで追い込まれた。とどめを刺そうと、果敢に突っ込んできた王鵬の動きを察知してかわし、小手に振るようにして突き落とした。
取組後の琴勝峰は開口一番「気合が入りました」と、風呂から上がっても、まだ整わずに息を切らしながら話した。昨年7月の名古屋場所で、自身が初優勝して以降は初対戦。番付では、最高位関脇の王鵬に先を行かれた格好で、前回対戦は24年名古屋場所。琴勝峰の白星となると、23年秋場所以来、3年ぶりだった。大逆転の土俵際は「ギリギリでしたけど、何とか(体が)動いてくれてよかった」と、幕内優勝を果たしても冷静沈着だった男が、珍しく興奮気味に振り返った。
対戦を知った直後は冷静だったが「(取組)当日になってから徐々に、徐々に」と、気持ちが高ぶってきたという。琴勝峰にとって王鵬は、自身が優勝した際は、後援者らとの恒例の“バンザイ写真”にも一緒に写ったライバルであり仲の良い友人。「ここから、どんどん調子を上げていきたい」。名古屋場所の再現、2度目の優勝へ、虎視眈々(たんたん)と状態を上げていくつもりだ。

