[ 2014年6月27日7時12分

 紙面から ]キャンプ地イトゥでの取材に応じた後、涙を流しながら会見場を去る長友

 【イトゥ(ブラジル)25日(日本時間26日)】W杯を終えた日本代表の新たな戦いが幕を開ける。DF長友佑都(27=インテルミラノ)が、1次リーグ敗退から一夜明けたこの日、失意の涙を見せながらも代表続投を宣言した。さらに次回18年ロシア大会に臨む新生日本代表で、主将就任に強い意欲を見せていることが分かった。名門インテルでも主将マークを任される長友が、大きな決意をした。本田をのぞく日本代表は今日27日、ブラジルから帰国する。

 涙にぬれた代表続投宣言だった。長友はコロンビア戦から一夜明け、ようやく気持ちを落ち着かせた。それでも湧き上がる悔しさは、抑えようにも抑えられなかった。テレビ取材を受けていると、一気に涙があふれてきた。1度席を外して、落ち着かせてから、涙の訳を話し始めた。

 「いろんな思いが出てきて…。この4年間この大会にかけてきたのに、こんな一瞬で終わるのかと…。昨日は1日考えて、こんな一瞬で終わるなら代表引退するという思いが出てきた。ただそれは、自分自身逃げじゃないかなと。ここで終われば人生後悔する。またこの舞台で次こそ結果を残したい」

 思い描いていた結果は残せなかった。左サイドバックで3戦フル出場。得意とする縦へのドリブル突破から左クロスの形は、3戦目にして輝いた。だが中に合わない。ゴールに結びつかない。豊富な運動量で、何度も何度も駆け上がった。「誰よりも走って、練習してきた自信があった」。昨秋、所属するインテルミラノのフィジカルコーチと話し合い、練習場に坂道を作ってもらった。練習後に坂道ダッシュを繰り返す姿は、インテルのいつもの風景。そんな姿勢に、昨年12月には主将を任されるほどの信頼を得た。

 ビッグクラブで主将マークを巻いて、ふつふつと湧き上がる、ある感情があった。長友の近い関係者によると、次回W杯ロシア大会に臨む日本の主将に、強い意欲を示しているという。強い精神力とリーダーシップは、イタリアで証明済み。4年後は31歳。若返りが予想される新生日本代表において、うってつけの存在だ。

 世界を知る選手として大会を振り返り、厳しいまなざしで言った。「1人1人が、想定外のことが起こったときに、試合の中で対処できない。メンタル的なブレが出てくる」。次を見据えた上で言った課題だった。

 ザッケローニ監督の話に及ぶと再び涙があふれてきた。この日の昼、指揮官が選手たちに向けて言った。「もう1度W杯を戦えるとしても、同じメンバーで戦いたい」。その言葉が深く突き刺さった。「これで終わってしまうのかと、寂しさと悔しさが強く出て。勝たせてあげられず申し訳ない」。涙の分だけ思いも強かった。止めようとした足は、再び歩み始め、新たな決意とともに日本に向かった。【栗田成芳】

 ◆W杯の日本代表主将

 日本が初めてW杯に出場した98年大会は3試合すべてDF井原が務めた。02年大会はDF森岡が初戦で務めるも、けがで2戦目以降の計3戦は宮本に交代。その後は宮本が06年大会まで主将としてまとめた。10年大会は本番直前に中沢から長谷部に変更。大会前のチームは負けが続いており「ズルズル今のムードを引きずるわけにいかない」と岡田監督が変更を決めた。

 ◆主将の役割

 キャプテンマークをつけ他選手と区別する。規則内の役割は、コイントスを行うこと、PK戦前に退場で人数が減っていた場合、除外選手を主審に告げることだけ。規則にないが判定の異議を主審にすることも多い。公式会見に出席する場合も。FIFA年間最優秀選手賞(欧州最優秀選手賞と統合)で監督とともに投票権を持つ。