雪組の若手スターを代表する月城かなと、永久輝(とわき)せあが、兵庫県宝塚市の宝塚バウホールで19日まで若手主体で上演中の「バウ・ショーケース『New Wave!-雪-』」で、ダブル主演を務めている。今公演後に月組へ移る月城、4月以降は新人最後の7年目に入る永久輝。2学年違い、絆でつながれた2人が“集大成”へかける思い、今の気持ちを語り合った。

 センターに立つ8年目の月城、6年目の永久輝。信頼し合う先輩と後輩だ。

 月城 私が最上級生なんですけど、ひとこ(永久輝)がいて心強い。

 永久輝 新人公演時代も、れいこさん(月城)とご一緒させてもらい、頼りにさせていただいて。今回、ほぼ新人(7年目以内)なので、わっかい(若い)!

 月城 場面ごとの空気感、ニュアンスをキャッチし、その雰囲気を私が、みんなに伝えなきゃいけない。

 演出の三木章雄氏から「失敗してもいい。自分を超えて挑戦を」と言われた。

 永久輝 今までは、上級生の方が方向性を示してくれて、ついていくだけでした。エネルギー切れにならないようにしないと。

 昨冬、雪組はインフルエンザが流行。苦い経験をした。その教訓を生かす。

 月城 のどがカラカラのまま歌い、踊ることも。けいこ場は空気も乾燥していて、ひとこののどスプレーを見て、すぐ買った。家の中でも、寝るときも、ずっとマスクをしています。

 永久輝 私は(除菌のため)家の湿度が50%を切ったら、加湿器にすぐ、給水するようになりました。

 雪組は7月にトップ早霧せいなが退団。新体制へ移り、変化の年になる。

 永久輝 お披露目(ルパン三世)で、新人公演初主演をさせてもらい、早霧さんを見て勉強して、早霧さんがいての私でした。新たについて行く人を探すのではなく、独り立ちを。私が引き継いで…受け継いで…いけたら…いいな…。あ、言ってしまった(笑い)。ちぎさん(早霧)を見て学んだ自分を、後輩に見せていきたいと思います。

 早霧はけいこ場で徹底的に悩み、苦しんでいるさまを隠さない。組全員で舞台を作り上げる姿勢を示す姿から、学ぶことは多い。

 月城 自分の責任(立場)も変わった時期に、一緒に舞台を作る感覚を味わえた。ちぎさんとゆうみ(咲妃みゆ)のそばで勉強できたのは、幸せでした。

 月城は今公演後、月組へ異動が決まっている。早霧から「組に染まろうとしすぎて、ブレるより、今まで学んだこと、曲げたくないと思うことは、そのままでいい」と言われたという。

 月城 ちぎさんは、君臨するのではなくて、みんなの先頭を走ってくださる。私は、そんな感じが好き。絶対に置いていかない。そんな“心”が舞台に出ていると思う。私も月組で、そんなことが分かち合える仲間ができたらいいなって。

 その月城に、永久輝は「寂しい」と漏らした。早霧が“師匠”なら、2年先輩で背中を追い掛けてきた月城は「頼れる兄貴」だ。

 永久輝 入ったときから(月城を)追い掛けるのが当たり前。新人公演で一緒だった頃が、私にとって青春だった。れいこさんは、同じ道をつねに先に進んでこられた。これから、このモヤモヤ、どう処理したらいいのか~(笑い)。

 新人公演に主演し、本公演でも重要な役柄を得る。同じ過程を歩んできた。

 月城 私は、ひとこ(永久輝)が入ってきたときから、刺激になった。華やかさとか、自分にないものを全部持っている。自分の魅力は何か? とあらためて考えた。ひとこが入ってこなければ、今の私はない。

 永久輝 そんな!

 息もピッタリの2人だ。

 月城 2人なら大丈夫。だから、ひとこが心配!

 永久輝 私も! 月城さんをちゃんと温かく迎えてくれるかなとか(笑い)。

 今年の抱負は2人そろって「変化と挑戦」。かたい絆の2人が、集大成を見せ、それぞれ次のステージへ進む。【村上久美子】

 ◆バウ・ショーケース「New Wave! -雪-」(作・演出=三木章雄氏)雪組若手によるショー。歴代雪組の名場面を再現し、未来への飛躍を目指すテーマで、ライブ感が鍵。平みちらの時代から最近までの楽曲で構成される。

 ☆月城(つきしろ)かなと 12月31日、横浜市生まれ。09年入団。雪組配属。13年「Shall we ダンス?」で新人公演初主演。15年「銀二貫」でバウ初主演。昨夏「ローマの休日」は、役がわりで主人公の相棒カメラマン。身長172センチ。愛称「れいこ」。

 ☆永久輝(とわき)せあ 8月8日、世田谷区生まれ。11年入団。雪組配属。15年「ルパン三世」で新人公演初主演。月城らと、エアウィーヴCMキャラクター。前作「私立探偵 ケイレブ・ハント」まで新人主演3回。身長170センチ。愛称「ひとこ」「ひとみ」。