多発性硬化症で療養中の落語家林家こん平(72)の弟子林家ぼたん(35)が来年3月に真打ちに昇進する。05年の発症から高座から遠ざかっているこん平だが、ぼたんの真打ち昇進披露興行には何らかの形で参加するという。

 ぼたんは日大を経て、02年に弟子入りした。「林家一門はバラエティーに富んでいて、自由度が高いと思った」。弟子入り志願した3日後には、見習いとして楽屋にいた。05年、二つ目に昇進した直後に師匠が倒れた。「最初は倒れたことを教えてもらえず、旅に出ていると思っていた」。

 それから10年、後ろ盾となる師匠は療養生活を送っている。「林家一門がしっかりしていて、先輩や根岸のおかみさん(海老名香葉子さん)も助けてくれたので心強かった」。こん平がレギュラー出演していた日本テレビ系「笑点」の座布団運び兼アシスタントとなり、BS日テレ「笑点特大号」の若手大喜利メンバーに入っている。

 真打ち昇進が決まると、こん平は涙ぐみ、「良かった、良かった」と喜んだという。昨年、こん平が始めた「都電落語会」で師弟共演も果たした。「師匠には『お客さんが喜ぶネタをやりなさい』と言われています。これだけは負けないという噺(はなし)を増やしていきたいです」と話した。