近年、ハリウッド映画において英国系俳優が活躍している姿がよく見られる。

 米国の俳優でも十分に役をこなせるはずなのに、彼らが増え続ける原因は何だろうか。

「スパイダーマン」「バットマン」「スーパーマン」の原作はすべて米国の作品だが、映画では英国育ちのアンドリュー・ガーフィールド、ウェールズ出身のクリスチャン・ベール、英国出身のヘンリー・カヴィルがそれぞれ主人公を務めている。

 2011年あたりから顕著になったこの英国系俳優のハリウッド侵略も、当初は単に斬新で興味深い一面としか思われていなかった。しかし、この波は徐々に本格化し、現在ではハリウッド映画で活躍するアメリカの俳優たちを脅かす存在とまでになっている。

 イギリスの場合、もともと古くから演劇が盛んで、初めは演劇に出演することでキャリアを積み映画やドラマで活躍する俳優が多い。「レミゼラブル」(12)や「博士と彼女のセオリー」(14)などの作品で有名なエディ・レッドメインも演劇出身の一人だが、実際彼のように下積み時代に他の俳優と働くことで刺激を受けながら技を磨く、というスタイルが主流のようだ。一方アメリカでは、演劇を経験してから映画界に入る俳優は少なく、役者トレーニングの方法ではテレビ番組に出演することがメーン。これについてイギリスの有名監督は、「決して悪いことではないが、やはり実際の舞台に立つことで演技力や表現力がつくのではないか。アメリカの俳優たちは演劇での下積み経験がなく、その点ではイギリスの俳優の方が一歩進んでいる」と語っている。

 また、イギリスとアメリカでは発音の違いもあるが、イギリスの俳優は積極的に発話トレーニングも行い、アメリカ人とほぼ同様の発音で役を演じるため、より一層アメリカで活躍できるフィールドを増やしている。「英国王のスピーチ」(10)のコリン・ファース、「トワイライト」(08)で有名なロバート・パティンソン、「パイレーツ」シリーズに出演したオーランド・ブルームなど、多くのイギリス人俳優はアメリカ人のような発音も獲得しており、ハリウッド映画にたくさん出演している。英国系の俳優は役や発音をしっかりと学ぶことにとても熱心であり、この姿勢がハリウッドでは人気なようだ。

 英国系の俳優がハリウッドで活躍する背景には彼らの役に対する惜しみない努力があるから。今後も彼らの活躍を見る機会は多そうだ。【ハリウッドニュース編集部】