気になる静岡県テレビ局のアナウンサーを紹介する連載「静岡アナ 気になリスト」。静岡朝日テレビ森直美アナ(28)の「その2」です。いつもニコニコ、笑顔が印象的ですが、アナウンサーとして、思い悩む時期もあったようです。救いは父親の何げない言葉でした。感動物語です。

 -入社1年目からフル回転だったそうですね

 人手不足で私も同期の広瀬(麻知子アナ)も、いろいろとやらせてもらいました。映画「バイオハザード4」のPRをテレ朝系列ですることになり、初めてのインタビュー対象が、ミラ・ジョボビッチさんだったんです。夏でした。めっちゃSPがいる中で緊張しすぎて、背中がきれいだったことしか覚えていないです。1年目の終わりには、夜勤中、静岡で震度5弱の地震が発生しました。東日本大震災の後で、「報道ステーション」の古舘さんとスタジオで掛け合うことに。そんなこともあって、度胸はつきました。

 -2年目から「スポーツパラダイス」を担当

 「夢がかなった」と思いました。でも、スタジオに出るまでに、地道な準備が必要。取材もそうで、細かいデータを調べてみたり、35分の番組を作るのに、こんなに準備が必要だったんだとも思いました。静岡のチームを応援するスタンスで仕事ができることには、喜びを感じています。ローカル局ならではかもしれないですけど、エスパルス、ジュビロが勝つと「イエーイ」で、負けると「残念」。自分がガンバを応援していた時と同じですから。

 -同期の広瀬さんとはタイプが違いますよね

 全然違います。2、3年目の頃は、広瀬を見て「やっぱり、キャラがあるのはいいな」と思いました。大学で「恋のから騒ぎ」に出て、思ったことと同じです。強烈なキャラクターがある人は、こういう業界で強いんだなと。

 -「自分にはキャラクターがない」と

 私、何でもそれなりにこなせる人生で、それを恨んだ時期がありました。いろんな仕事をして、それぞれを無難にはできる。帰省して、そういう話を父親にしたこともありました。「キャラがないから、何でもやらされると」。

 -お父さまの反応は

 大好きな野球に例えて言いました。「みんなが4番バッターじゃなくていい。1番から9番までいないと、いい打順にならないんだ。だから、4番じゃなくても輝ける。見ている人は見ているんだから」と。その時、父は飲んでいて、「はいはい」と思っていたんですけど、後々、めっちゃ、ジンジンと来たんです。

 -笑顔で明るいキャラのイメージがありますが、悩んでいたんですね

 おかげで、4年目、5年目の時は「キャラがないのもキャラ。いつどんな仕事が来てもできるようにしよう。そういうのを逆に自信にしよう」と思えるようになって、明るい私が出てきました。

 森アナは、県内4局広報アイドルグループ「4siz(フォーシズ)」の一員ですが、昨春、石田和外アナウンス部長にメンバー入りを指示された際、激しく抵抗したそうです。「なぜ、アイドルのアの字もない私なんですか。今までやってきた仕事の中で一番自信ないです」。約30分間、粘ったものの受諾して、アイドル風の衣装を着たところ、「鏡見て爆笑」。ただ、他局の3人とはすぐに仲良くなり、「4人そろえば、抵抗がなくなるんです。20代のうちにできて、今は感謝しています」と話しています。さすが「何でもできるアナ」です。「その3」では、プライベート、将来について聞いています。【柳田通斉、鈴木正章】(つづく)

 ◆森直美(もり・なおみ)1987年(昭62)6月3日、兵庫県姫路市生まれ。同大政策学部卒。10年4月に入社。主な担当番組は「スポーツパラダイス」「とびっきり!しずおか」。趣味はジョギングで、「走ったご褒美で(酒を)飲む」「飲んだ罰で走る」。