ソロ活動30周年を迎えた桑田佳祐(61)が12日、5年ぶりの全国ツアー東京公演を東京ドームで行った。ツアーは、史上初となるソロ歌手2度目の5大ドーム公演を含む過去最大規模の40万人を動員予定。緊張を口にしたり、ファンへの感謝を繰り返すなど、国民的歌手は大規模会場でも初心を忘れない姿勢をみせた。

 桑田は3曲を一気に歌い上げると「ういーっす。本田圭佑です」とユーモアたっぷりにあいさつして沸かせた。前日11日に続き、この日の東京ドーム公演が5大ドーム公演の皮切りとなる。東京ドームはグループ、ソロを通じて11公演目。2年前もサザンオールスターズで公演したが、超満員となる5万5000人で埋まった場内をじっくり見渡した後、「デッカイね。だんだん緊張してきた」。

 「オアシスと果樹園」「ヨシ子さん」など、8月に発表した6年半ぶりのオリジナルアルバム「がらくた」収録曲を中心に構成した。桑田が手掛けたNHK連続テレビ小説「ひよっこ」の主題歌「若い広場」を、「もう60だけどまだまだ『ひよっこ』!」と紹介。ドラマで使用されたインコのマスコット「イチコ」も登場させて盛り上げた。

 ドーム公演では異例の観客からの質問に直接答えるファンサービスも行った。男性から「(メンバーで妻の)原(由子)さんは(今)何をされているのですか」と聞かれると「非常にいい質問ですね。面倒見てくれているの。僕のよ」と照れながら答えた。87年ソロデビュー曲「悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)」では、30年間を振り返る20枚以上の写真がスクリーンに映し出された。

 ツアーは10月17日から始まり、大みそかの横浜公演まで10カ所18公演。「万全の態勢でと、2週間前に内視鏡検査と下部内視鏡検査を受けました。大丈夫でした」。さらに「60はまだ若いよ。みんな一緒に頑張ろう!!」と呼び掛けた。

 「60を過ぎた歌い手のために本当にありがとう」などと何度も感謝を口にした。一方、ギャグが思ったほどウケないと「すべっちゃったかな」と悔しがった。公演は2時間45分に及び、終盤では足を何度も高々と上げた。持ち前のユーモアあふれるトークと、年齢を感じさせないパワフルなステージで観客を楽しませ続けた。【近藤由美子】