俳優夏木陽介さんが14日午前10時46分、腎細胞がんのため、都内の病院で死去した。81歳だった。19日未明、友人の作家で東北芸術工科大学教授の山川健一氏が、夏木さんの公式ブログで公表した。葬儀・告別式は親族だけで行う予定。

 所属事務所によると、昨年10月に肺炎で入院した。すぐに回復したが、同11月末にリハビリのためストレッチなどをしていた時に体に力が入らなくなり、床に崩れ落ちた。病院で精密検査を受けた結果、胸椎のがんと判明し、そのまま入院した。

 入院中は食事も普通にとることができ、見舞客には冗談を飛ばして会話をするなど元気な様子だった。キャンセルした仕事を気に掛け、「元気になって、早く仕事をしなければね」と話していた。年内にも退院できる見込みもあったが、同12月27日、突然意識を失い、集中治療室に入った。その後も意識が回復することはなく、今年1月14日に弟ら親族にみとられて息を引き取った。

 昨年10月の入院前までは体調を大きく崩すこともなく、自らハンドルを握ってドライブに行くなど元気だったという。

 58年に明大卒業後に東宝に入社、黒沢明監督の「用心棒」などに出演した。

 65年に教師を演じた日本テレビ系ドラマ「青春とはなんだ」に主演して人気を獲得、学園ドラマブームの先駆けとなった。66年の映画「これが青春だ」も大ヒットした。73年に三船敏郎さんの独立プロ「三船プロ」に移籍後、人気ドラマ「Gメン’75」や高倉健さんが主演した映画「海へ~See you~」などに出演した。82年から個人事務所「夏木プロダクション」で賀来千香子、西村和彦ら俳優も育成した。

 ラリードライバーとして85、86年にダカール・ラリーに出場、87年から93年まで「チーム三菱・シチズン夏木」の監督として篠塚建次郎らを活躍させた。

 09年に軽度の脳梗塞で入院治療を受け、10年には腎臓で見つかった悪性腫瘍の摘出手術を受けていた。