日本映画プロフェッショナル大賞の授賞式が先日、都内の映画館で行われた。

 強制わいせつ騒動や、めじろ押しの芸能イベントに押されてほとんど報じられることが無かったが、実は決して広くない会場にはそうそうたるメンバーが顔をそろえていた。

 特別功労賞の大林宣彦監督(80)は「ずっとアマチュアの感覚で撮ってきたので、プロフェッショナルとは面はゆいが、亡くなった仲間、高畑勲監督にこの賞をささげたい」。サングラス越しに満面の笑みがこぼれた。

 主演男女優賞に浅野忠信(44)と松岡茉優(23)。新進男女優賞に村上虹郎(21)と滝内久美(28)。監督賞には広木隆一(64)と文字通り一線で活躍中の人たちが次々に登壇した。

 満島ひかり(32)と高良健吾(30)もプレゼンターとして花を添えた。

 松岡は「8歳の時から子役をやってきましたが、初めて主演した『勝手にふるえてろ』で、この賞をいただき感激です」と素直に喜びを語った。

 東京国際映画祭で観客賞に輝いた「勝手にふるえてろ」だが、映画関連団体や新聞各社が主催する名の通った映画賞に引っ掛かることはなかった。確かに興行的な側面や「批評家的」視点からすると微妙な位置にある作品かもしれない。

 略称「日プロ大賞」は、公開規模などの関係で過小評価されている秀作にスポットを当てようと、映画評論家の大高宏雄氏が設立。団体ではなく個人が主催する「世界唯一の」映画賞のふれこみで今年で27回を数えている。

 微妙な領域を対象にしたコンセプトは、確かにありそうで他にはない唯一無二の立ち位置だ。

 ずらりと並んだ笑顔に、この賞の意義を実感した。