フジテレビのワールドカップ・ロシア大会MCのジョン・カビラ(59)をベースに作られた、人工知能(AI)搭載ロボット「AIカビラくん」が製作され11日、都内のフジテレビで行われたワールドカップ・ロシア大会出陣式でお披露目された。

 フジテレビでは今回、カビラがキャスターを務めた2002年の日韓大会で日本がワールドカップ初勝利を挙げた同6月9日の1次リーグ・ロシア戦以来のワールドカップの日本代表戦中継となる、28日の対ポーランド戦など8試合を放送する。そのポーランド戦について、AIカビラくんは小柳ルミ子(65)から「どちらが勝ちますか?」と聞かれた。「こんにちは?」など、普通の問い掛けを何度かされ、認識できなかったものの何とか予想に成功した。

 AIカビラくん データサーバーに問い合わせてみました。私の予想では、勝利するのは日本です。これは、もう間違いなく日本でしょう。そうでなくては、困ります。試合は大接戦になりますが…2-1でニッポン! 日本の組織力を生かして、ワールドカップドリームを手に入れてもらいましょう。GO! サムライブルー!

 またフジテレビが放送する初戦となる、15日のエジプト対ウルグアイについても、プレミアリーグの名門アーセナルの下部組織の練習に参加した経験のあるJOY(33)から「どうなるかなぁ?」と聞かれると「私の予想はウルグアイです。(バルセロナFW)スアレス選手2得点、(アトレティコ・マドリードDF)ゴディン選手1得点。ゴールを狙う姿勢は、まさに南米のプレデター(破壊者)」などと、とうとうと答えた。専門的な質問にはしっかり答え、登壇者を驚かせた。小柳も「すごいなぁ。(予想タコで知られる)パウロ君より、いいじゃないですか? 私、欲しい」と驚いた。

 ところが、その後、アクシデントが…。AIカビラくんは、その後、壇上で倒れてしまい「転んでしまいました。誰か起こしてくれませんか?」と2度、呼び掛けた。本家のカビラが手で持ち上げたところ「ボキッ…」と、鈍い音が…。カビラが、思わず「ああっ」と叫ぶと、JOYは「ボキッと音がしました。どこかしら、折れましたよ。ヤバい」と焦った。カビラは「そう言わないで下さい。僕は2回、切っているんで」と、自らの過去の負傷歴を引き合いに苦笑いした。

 AIカビラくんは、複数のAPIテクノロジーを組み合わせ、カビラが複数のパターンで読んだ定型文の声のデータを収録し、そのデータを元に、実際はカビラが読んでいない自由な文章をデジタル生成した音声で再現するロボットだ。カビラは「2時間、みっちり収録…サッカーに関係ない言葉を録音したんです。それが、こうなっている…バラバラのところから人工知能(AI)の力で返事が出来るんです」と説明。何度か、誤作動をし、返事をしなかった際は「我々が心配している、日本代表と同じ…調整しているんです」とフォローしていた。

 AIカビラくんは、13日から17日まで東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードに設置されるほか、16、17、23、24日の午前9時から午後8時まで、フジテレビ本社1階にも置かれ、一般のファンでも体験できる予定。

 ただ、せっかく、日本代表がポーランドに2-1で勝つと予想しながら、直後に「ボキッ…」という鈍い音が生じた“重傷”を負ったAIカビラくん…。日本代表の予想とともに、AIカビラくんが戦列に復帰できるかも気掛かりなところだ。

 この日の出陣式には小柳、そしてプレミアリーグの名門アーセナルの下部組織の練習に参加した経験のあるJOYとともに就任した、フジテレビのワールドカップ中継のワールドカップサポーターズも紹介された。息子の光成(27)がJ1清水エスパルスのMFでもある六平直政(64)は「本田と香川を同時にピッチに出して欲しい。そうしたら絶対、何か切り口が出来る。バイタルエリアに入ったところに香川がスルーパスを出す…今のままじゃダメ」と西野朗監督にリクエストした。

 02年日韓大会1次リーグ・ベルギー戦でゴールを決めた元日本代表FWで、今回は解説も務める鈴木隆行氏(42)は、日本代表の1次リーグ突破の可能性について「冷静に分析すれば20~40%の間。でも短期間で作戦だったり分析だったりで(可能性を)グッと上げられることある。Jリーグでも分析すれば弱いチームがいいチームに勝ったりする。日本ってそんなに警戒されていない部分も強くある。そういう時は作戦がはまりやすい。西野監督や選手は、やってくれると思う。高い確率でいけると思う」と期待した。【村上幸将】