川谷絵音(29)が、千原ジュニア(44)の主演映画「ごっこ」(熊沢尚人監督、10月20日公開)の主題歌「ほころびごっこ」を書き下ろしたことが1日、分かった。

 「ほころびごっこ」は、川谷が夢の中で「ごっこ」のラストシーンが浮かび“夢作曲”した楽曲で、「ゲスの極み乙女。」と並行して活動するバンド「indigo la End」による、初の映画主題歌となる。川谷は「夢作曲は僕もなかなか経験したことがないので、それを呼び起こした『ごっこ』という映画には愛しかありません。これ以上の主題歌はないと思います。ぜひ最後まで聴いてください。アウトロが終わる時、映画が完成します」と映画と曲への愛を強調した。

 「ごっこ」は2015年10月20日にクランクイン、翌16年1月16日にクランクアップし、編集は17年3月に仕上がった。その後、川谷に主題歌制作の依頼があったという。川谷は制作にあたり、初めて作曲旅行を行い、旅館で「ごっこ」の本編を見た上で3曲を作り上げたという。

 川谷 「ごっこ」の主題歌を作るにあたり、僕は初めて作曲旅行というものを敢行しました。映画を見たのは旅先の宿の、ハンモックの上でした。見た後、いろんな感情が湧き上がり持ってきたクラシックギターで全然違う曲を3曲も作ってしまいました。

 それが、布団に入って目をつむった瞬間、映画のラストシーンが浮かび、夢の中で作曲するような状態で1曲、新たに浮かび、先に作った3曲をボツにしたという。

 川谷 満足した僕は旅館のご飯を食べ、温泉に入り、良い旅だったなと布団に入り目をつむった。その瞬間でした。「ごっこ」の最後の10分間のシーンがフラッシュバックしました。軽い夢作曲のような状態。これだ! と思う曲の雰囲気をつかみました。作った3曲はボツにしようと決めた。そのまま僕は眠りにつきました。起きて家に帰り、夢作曲した曲をギターにおこしスタジオで何かに取りつかれたように一気にメンバーと作り上げました。

 「ごっこ」は、2016年10月に46歳の若さで亡くなり“早世の鬼才”と呼ばれる漫画家・小路啓之さんが、10年から12年まで漫画誌「スーパージャンプ」、「グランドジャンプPREMIUM」(集英社)に連載していた同名漫画の実写映画化作品。大阪の寂れた帽子店を舞台に、40歳目前にもかかわらずニートの城宮と、仲むつまじく暮らす5歳児のヨヨ子の親子を描く。親子は他人に知られてはいけない秘密を抱えており、城宮が10数年ぶりに実家に戻ったことを知る幼なじみの警察官マチが突如、現れたヨヨ子に疑いの目を向ける。ごっこ生活のような不安定な2人の、その日暮らしがある日突然、衝撃の事実によって崩壊してしまう物語。

 映画では、千原ジュニアが城宮を、ヨヨ子を17年のNHKドラマ「悦ちゃん」に出演した平尾菜々花(12)が演じる。千原ジュニアは、クランクアップから2年9カ月たって、ようやく公開が決まり「ごっこ、やっと、きっと、ぐっど」と意味深なコメントをした。

 熊沢監督は「この物語の主人公は、引きこもりなのに、幼女を誘拐してしまうという大変難しい役どころですが、千原ジュニアさんの唯一無二で大胆、まさに怪演といえる演技力で、うまく生きられない人間の心のズルさ、葛藤、愛情をいかんなく表現できました」と千原ジュニアの演技を高く評価した。