昨年7月に死去した作曲家平尾昌晃さん(享年79)の総額60億円ともいわれる遺産の相続問題で、平尾さんの残した会社2社の株主総会が26日、都内で行われた。その結果、3度目の結婚相手となった50代の妻が1社の社長の職を解かれた。

昨年10月の株主総会で、妻は2社の社長に就任。だが、三男の歌手平尾勇気(37)が「就任の経緯に問題があった」などと主張し、職務停止を求める仮処分を東京地裁に申請し、今月21日に受理された。勇気は25日に都内で会見。妻が遺産を不法に独占しているなどと主張していた。

この日、総会終了後に勇気は弁護士らを伴って都内で記者会見。弁護士によると、音楽出版管理会社について、取締役選任の審議で兄弟3人が選任され、次男の平尾亜希矢(あきや)さん(39)が代表取締役に選出された。妻については「取締役の議案は出たが選任されなかった」と説明。事実上、社長の職を解かれた格好だ。これを受けて、東京地裁への申し立ては取り下げるという。

一方、もう1つの会社、平尾さんの個人事務所については「株主確定がされていないために、株主総会が継続続行になった」と説明した。現状維持のために、今後も妻が社長のままとなるが、東京地裁に対して求めている妻の職務停止の仮処分申請は継続される。審尋は10月9日から。弁護士は「裁判になれば1年以上かかることもある」と話した。

この日の勇気は「兄弟3人で約束をしたから」と、会見の場で無言を貫いた。「個人の気持ちを話すことは今日は止めようと約束をしたから」と頭を下げたが、前日の会見から一転して、この日は“貝”になった。

妻も取材には応じなかった。だが、前日までにマスコミに送った文書で「平尾昌晃は争いごとを好まない人だったので、今回このようなことになって大変切なく、残念なことだと思っています」とコメント。今年7月に平尾さんの一周忌追悼イベント後に表面化した遺産を巡る対立にこの日、1つの区切りがついた。