女優赤木春恵(あかぎ・はるえ)さん(本名・小田章子=おだ・あやこ)が29日午前5時7分、心不全のため東京都府中市の病院で死去した。94歳だった。TBS系「3年B組金八先生」シリーズで共演していた武田鉄矢(69)が、都内でイベント出演前に取材に応じ「赤木校長の褒め言葉が、自分を育ててくれた」としのんだ。

赤木さんは、武田演じる熱血教師の坂本金八や生徒を、温かく見守る君塚美弥子校長役を演じていた。この日早朝の訃報をラジオ番組で聞いて知ったという武田は「悲鳴を上げました」。1979年(昭54)のドラマシリーズ開始から、プライベートでも「赤木校長」「金八先生」と呼び合っていたという。

「よき先輩で、まだ自分も海の物とも山の物ともつかない存在だったけどかわいがってもらった。子どもたちを先に帰すので、職員室のシーンはいつも最後だったけど、生徒相手に腰が砕けそうになっている自分を見て、校長は手をたたきながら『失敗なしでいくわよ』とみんなに声を掛けてくれた。生徒との息詰まるシーンでも、当時は若かったので、カーッとなって、力が入って、リハーサルからよく泣いたりしたこともあったけど、心情芝居をすると一緒に泣いてくれるんです。『あなた偉いね~』って。それがありがたいんです。赤木校長からの花丸印はうれしかったですね」と涙ながらに当時を振り返った。

その後も舞台などで共演してきた。「老いがマイナスにならない人っているんだなと思いました。どんどん『いぶす』ように見えて、ひそかに憧れてきました」。ここ7~8年は、直接会うことがなかったというが、以前、赤木さんの整体師を紹介され、整体師を通じて、お互いの近況を確認し合う形だったという。2日前に、整体師と会った際に「今日は赤木校長の話はしなかったね、と言い合ったばかりだった。虫の知らせだったのかな」。

最後は赤木さんに「坂本金八こと武田鉄矢です。長い間かわいがっていただいて…本当にありがとうございます。ご冥福をお祈りするとともに、赤木さんの背中に負けないように、しっかり芸を背負って私もこれから、赤木さんの歳まで頑張ろうと思います。どうぞ安らかに。お疲れさまでございました」と涙ながらに金八節で「贈る言葉」を送った。