歌舞伎俳優の坂東玉三郎(68)が21日、大阪市内で、南座新開場記念「坂東玉三郎特別公演」(3月2~26日、京都・南座)の取材会を開いた。

南座は改修工事を終え、18年11月に再開場した。20代から顔見世興行で舞台を踏み、40代からは特別舞踊公演も行っている南座。約1000席の客席数に「歌舞伎にとっては、お客様と近い関係を持てる良い空間。お客様との関係性が大きい」。新しくなった南座での公演を心待ちにしていた。

上演する「壇浦兜軍記 阿古屋」で演じる阿古屋は97年以降、玉三郎だけが勤めてきた女形の最高峰といえる大役。舞台上で実際に琴、三味線、胡弓(こきゅう)で3曲を演奏しながら、微細な心情を表現する。 18年12月の東京・歌舞伎座「十二月大歌舞伎」では、玉三郎とともに中村梅枝(31)と中村児太郎(25)が初めて阿古屋を演じた。2人には「ひたすら稽古したことをするように」と伝えたといい「あんまり表現しようと思わない方が良いんです」。

20年以上守り伝えていた大役について「楽器を弾いているということが前に出るのではなく、歌劇音のさわりが踊りにならないように。身体で語るように」と、大事なポイントを教えたという。自身の初演の頃は「何かを表現して、何かを表さなければいけないのではないかなという思いもあった」と振り返り「ひたすらやっていれば、お客様に伝わるものだということが理解できる」ということを、2人に伝えられたことが良かったと語っていた。

5月11、12日には京都府丹後文化会館で「坂東玉三郎京丹後特別舞踊公演」も上演される。