俳優菅田将暉(26)が24日に福岡でスタートしたZeppツアーの初日。見ていて心地よかったのは、菅田とバンドとの一体感だった。

俳優として超多忙を極める菅田。リハーサルも8月の1週間、短期集中で行ったという。俳優での人気ぶりや準備期間を考えると、自分より世代が上のベテランミュージシャンを集めたステージも、選択できる立場ではあったはずだ。

だが菅田は、ギター「シミズ」、ベース「オチ」、キーボード「ヤックン」、ギター「ケイタクン」、ドラムス「タイヘイ」と呼ぶ、同世代のメンバーでツアーに臨んだ。メンバーの中核は、17年に解散したバンド「カラスは真っ白」に所属していた、20代後半から30歳前後のミュージシャン。一部は、菅田が出演した16年の映画「何者」の劇中にも登場しており、ここ最近のライブでも演奏するなど、気心の知れたメンバーのようだ。

ライブで菅田は、自ら手染めと刺しゅうをしたTシャツをメンバーの衣装として準備するなど“バンド感”をアピール。前日には「みんなでモツ鍋食べた」と決起集会をしたことも明かした。全員にボーカルマイクを配置し、MCで菅田がメンバーと軽妙なやりとりも。演奏もエネルギッシュな上に、バンドならではの一体感もあった。ソロパートを回した後には菅田が「カッコいいでしょう、ウチのバンド」とわが事のように喜ぶなど、同世代の仲間と「一緒に見せる」という意志が強く伝わってきた。

ツアーのバンドに限らず、菅田を囲むミュージシャンには同世代が目立つ。ライブで演奏された楽曲「まちがいさがし」を作詞作曲した米津玄師は28歳、「さよならエレジー」作詞作曲の石崎ひゅーいは35歳と少し上だが、デビューが12年とやや遅咲き。菅田に提供した同楽曲などもきっかけに、現在ブレークしている。菅田が7月に発売したアルバム「LOVE」にコラボ曲が収録されている、あいみょんも24歳だ。

ツアー5公演の動員1万1000人に対して、応募者は20万人で倍率18倍と、俳優だけでなくミュージシャンとしての人気も、あらためて証明。そんな菅田が今後、同世代のミュージシャンたちと、どう切磋琢磨(せっさたくま)し、ともに成長していくのかも、楽しみなところだ。【大井義明】