20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。「テレビで応援したい」というラグビー初心者の手助けとなるのが、画面に表示されるルール解説だ。開幕戦「日本×ロシア」(20日午後7時半)など19試合を生中継する日本テレビもここ数年工夫を凝らしている。短いCG動画を取り入れた最近の見せ方は「分かりやすい」と評判だ。

試合で反則などがあると、画面右下に小さなラガーマンのCGキャラが登場。3秒くらいでどういう反則なのか実演し、短い解説文と合わせて一目瞭然になっている。シンプルな姿と動きに親しみやすさがあり、ミスキックの「ダイレクトタッチ」では、蹴った後に頭を抱えるしぐさも。見た目になるほど感がある。

同局の渡辺卓郎プロデューサーによると、CGキャラクターは、日本ラグビーフットボール協会のルール動画に登場するCGキャラ「Kishiboy(キシボーイ)」のビジュアルを参考にしているという。かなり太めの体で走ったりタックルしたりするコミカルなキャラで「ラグビー界の人気者。ほんわかしたテイストに似せて作りました」。

動画と解説文が表示されているのは5秒ほど。「文章が長すぎないことと、正確に伝わること。この2つを大事にしています」。動画は一般的な反則のみ作っているが、専門用語や基本ルールを含めると、テキストで用意している解説文は100近く。「試合の流れに沿って、出したい時に出したいスーパーをちゃんと出せるか。専門のスタッフがリスト片手に頑張っており、そこの作業がいちばん難しい」という。

70~80年代のラグビー全盛期は解説者による解説のみだったが、11年ごろから画面に解説の字幕を出すようになった。当初は賛否が寄せられていたが、15年の世界卓球でテレビ東京が同じシステムを採用。「まねされるということは、いいものだと思われているからで、自信になりました」。17年から動画付きに進化し、状況に応じて、動画付きと文字のみを使い分けている。

「本来なら、スポーツ中継に余計な字幕はない方がいい」とも話すが、「見たいけどルールがよく分からない、という人にテレビとして貢献できるチャンス。ラグビー全盛時代の人よりも、小学生に面白いと思ってもらえるような、競技の未来につながることを意識している」と話す。

開幕からしばらくは現行の手法で放送するが、日程が進んで以降の見せ方は変化していくとも語る。「試合を見てルールや用語を覚えていくうちに、『あのノックオンが』とか『きのうのラインプレーすごかったよね』とか、解説のスーパーがなくても自然にラグビー用語を使って盛り上がるタイミングが絶対に出てくる。そこをきちんと見極めて、満足してもらえる中継にしたい」としている。